Mean What You Say (Thad Jones)

<どんな曲なのか?>

A(16),A'(16)の32小節、キーはF△です。 タイトルの意味について、寺井師匠にお伺いしたところ、サド・ジョーンズの口癖で「Say what you mean!」 (本音・腹の内を言え)ということだそうです。 つまり、演奏でのアドリブについて「ほんまのシンのある、聴いている人の心に届くフレーズを演奏しなさい。上っ面の演奏はあかん」という意味が込められているそうです。

<参考にした生演奏>

寺井師匠の生演奏を聴いて「カッコイイ曲やなぁ〜」と感動したのがきっかけで、練習しようと思いました。だからライブでこの曲が演奏されたときには、毎回吸い付くように見て聴きました。生演奏を聴くことによって、曲のイメージがどんどん高められたと思います。

特に、左手の返しに特徴のある曲なので、どんな風に指や腕を使っているのか、また右手のフレーズのもっていき方、息づかい、間合い、合図などに注目しました。

フラナガニアトリオで直近の5年間に演奏した回数はわずかに8回です。そして毎回その曲順に法則があることに気がつきました!生のライブでこの曲を聴く機会があれば、その法則の意味が判ると思います!(ちなみにトリオとデュオでは法則が違います。) 寺井師匠のアルバムでは『Echoes』に収録されています。

<参考にしたCD>

Let's トミー・フラナガン大師匠の『Let's』(Enja [G] EJ 80402) 【Tommy Flanagan (p) Jesper Lundgaard (b) Lewis Nash (d) (April 4, 1993)】に収録されているヴァージョンを参考にしました。

寺井師匠は「テーマの左手の返し、たまらん!構成が完璧!」(寺井尚之のJazz講座(2000.5.13)’90年代Tommy Flanagan配布資料より)とコメントされています。そこで、さっそく構成をチェックしてみました。

<構成>

1stテーマ 16,16
 p アドリブ3コーラス In 2×1 4Beat×2 1コーラス(pバッキング注目!)
 b Riff
 Lastテーマ 16,16
 Ending U-Xの平行移動
 End

非常に無駄がなく、すっきりした構成で、6分以上もあることをまったく感じさせないすばらしい演奏です。もうあと1コーラス聴きたい!といつも思います。 フラナガン大師匠のアドリブを譜面に書いてみましたが、ここでご紹介できないのが残念です。

もちろん寺井師匠の演奏も譜面にしました。狙っている音や、1コーラスごとの構成、曲全体のイメージなど、フラナガン大師匠と似ている点があったり、まったく違うことを狙っていたり、実際に譜面にしてみると、今まで気が付かなかったことが発見できて、楽しいです。(寺井師匠の技は、テディ・ウィルソンとバド・パウエルとフラナガン大師匠がミックスされた大阪デトロイターのフレーズです)

<演奏するとき、どういう工夫をしたか、何に苦労したか?>

・インタープリテーション
歌詞のない曲では、どのようにイメージを広げて演奏したら良いのか、という事について、非常に苦労しました。最終的には、デトロイト・ジャズの上品でスカッとした粋な演奏をイメージしました。

・イントロ
イントロのない曲は、どうやって弾き始めたらいいのか。このことも難題のひとつでした。なかなかうまくできず、出だしの「息づかいと間合い」について、何度もレッスンで注意を受けました。

・特異なコード進行
なぜか7thコードの多い曲です。普通の曲とは違うみたい・・・。それでディグリーを振ってみると、衝撃の秘密が!サド・ジョーンズってやっぱり天才やなぁ、と感動しました!ほんとうにすごく緻密でびっくりしました。ぜひみなさんも、楽譜を手に入れられたら、ディグリーを振ってみてくださいネ。

投稿者:あやめ(2005.3.6)

師匠コメント

フラナガンのコピー譜、見たら解説が止まりません。あやめちゃんのノートには、次のページには、必ずわしのヴァージョンのコピーがあります。それを観たら、いつも直したくなってしまいます。 他の生徒のみなさんも、どんどん良い演奏をコピーしていって下さい。