ミュージカル‘Pardon My English’(1932年)のため作曲されたガーシュインのバラード。AABAの32小節でE♭△。
‘Isn't It A Pity?’とは「哀れじゃない?」という意味ですが、どちらかといえばユーモアも入った幸せなラブソングです。
歌詞は「私もあなたも、これまでどれだけ無駄で退屈な時間を過ごしてきたことでしょう。今まで私たちが出会わなかったなんて哀れじゃない?」といった内容。
ボーカルでは、エラ・フィッツジェラルドの『ガーシュイン集』は必聴です。
フラナガン氏の録音では、エラに捧げたアルバム‘Lady, Be Good’(1993年録音)に収録されたピアノトリオのものがあります。
ここでの演奏からは、「ひそやかな悲しみを含んだ喜び」といった微妙な感情が上品に表現されているように思います。
また、フラナガン氏は晩年にライブでもよく演奏していたようです。私も1999年と2000年にブルーノート大阪で聴きました。
この曲を実際にレッスンしてみると、聴いた印象よりも弾くのが難しくて苦労しましたが、レパートリーとして持っておきたい曲のひとつです。
なお、2004年3月に行われたフラナガニア・トリオによる第4回トリビュート・コンサートで、アンコールの一曲目にこの曲が演奏されました。
これはフラナガン氏の未亡人ダイアナさんが、寺井師匠に対してリクエストしたもので、フラナガン夫妻にとって思い入れの深い曲ということがわかります。
いい歌です。歳を重ねると、又味わいが出るでしょう。