曲の構成は、AABAの32小節で、キーはF△。チャーリー・パーカーの非常に有名なバップ・チューンですね。曲想が明るく、テーマのメロディが複雑で細かいがメロディの流れは自然である、というが特徴だと思います。セカンド・リフが2つあるのもこの曲の魅力となっています。
まず、テーマについて。この細かい譜割りを、アクセントの出し入れを注意しながらかっこよく弾ききるのは非常に難しいです。狙いをしっかり定めて繰り返し練習するしかないです。
アドリブについては、テーマがこれだけ細かいので、それに負けないフレーズを作らないと曲全体がしぼんでしまいます。3連符や16分音符を多用したり、休符の位置やリズムを工夫してうまくあおっていく必要があります。
また、リフが2つあり、それを有効につかっていくことも大事になります。フラナガン氏は、1977年の『Eclypso』というアルバムの中で、リフ(ピアノ)6小節─ドラムス2小節のパターンをベースソロの後に用いています。このアルバムでは、2つあるリフのうちの1つのみを使っていますが、実際ライブを聴いた際に、フラナガン氏はもうひとつのリフをアドリブの最後のコーラスで使って盛り上げていました。私も前回の発表会でこれとほぼ同じ構成で演奏しました。
Confirmationを録音したフラナガン氏のリーダーアルバムは、下記の3枚です。どれも素晴らしいので、まだ持ってらっしゃらない方は、ぜひ手に入れていただきたいと思います。なお、もちろんチャーリー・パーカーの録音も必須です。
Tommy Flanagan Trio | 『Eclypso』(b: G. Mraz, ds: E. Jones)1977 |
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Tommy Flanagan Trio | 『Confirmation』(b: G. Mraz, ds: E. Jones)1977 |
Hank Jones+Tommy Flanagan | 『I’m All Smiles』1983 |
この曲をどうやって自分のレパートリーにしたのか。 フラナガンの『Eclypso』が発売された当時から私はレパートリーにしていましたが、このヴァージョンはファースト・テーマとラスト・テーマが違いますね。そのあと『Confirmation』にも収録されていましたが、これもファースト・テーマとラスト・テーマが違います。つまり4通りのテーマがある訳です。
まず、テーマのメロディをきっちりと書くことが大切です。次に、チャーリー・パーカーの演奏を聴く。その後ミックスして自分のテーマの譜面を書きます。ビバップの譜面はこういった手順をふまえるべきです。それから自分の手に合わせてアレンジします。こうして、デトロイトやNYやフィラデルフィアといった訛りが出るんです。
アドリブですが、ビバップ・チューンはテーマが細かいからそれ以上のことをしないと盛り上がりません。しかしそれはテーマのメロディより細かいフレーズを弾くという意味ではありません。音圧や左手との組み合わせなど、いろいろな要素が考えられます。
フラナガンはイントロからエンディングまですごく集中力のある人で、すべてのことを考えながら演奏しています。その間にいろいろなアイデアが浮かぶのがまたすごい。毎回リフが違いますし、遊びが瞬間に出せるから、すべてのヴァージョンが違ってくるんです。
すべてのヴァージョンをチェックすると、自分の理想が見えてくると思います。こういう風にして勉強してください。