生徒会イベント報告

第2回勉強会について 「ビリー・ホリディ講座」

マイクを手にする寺井師匠と熱心に聞き入る生徒の皆さん

2004年6月27日(日)、生徒会主催により、寺井師匠を講師に迎えまして「ビリー・ホリディ講座」が催されました。
 フラナガン大師匠は、寺井師匠に会う度に「ビリー・ホリディを聴きなさい」とおっしゃっていたということですが、寺井師匠は、そのホリディの魅力について、日本におけるホリディの一般的なイメージ(「奇妙な果実」に代表される暗いイメージ)とは違った「色気とかわいらしさ」、そして、それを表現する技術力(「詞の言いまわし」など)に注目して、解説されました。もちろん、 OverSeasのボーカル講座では欠かせない、珠重さんの対訳付きです。
 また"I Only Have Eyes For You""I Wished On The Moon""I Cover The Waterfront""Crazy, He Calls Me""It’s Easy To Remember"などなど、寺井師匠のレパートリーの「元」が聴けました。
 「歌もの」をピアノで演奏する際、フラナガン大師匠は、‘Glad To Be Unhappy’など「ハッピーエンドではない曲をクールに演奏する」傾向があるのに対し、寺井師匠が「ハッピーエンドの曲を好むロマン派」という対比が、個人的に興味深いです。
 以下は、生徒の皆様から頂いた講座の感想です。感想を読んで「ビリー・ホリディ講座」で感じたことを再び思い出しましょう。

<編集委員 むなぞう>

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ホリディの歌を聞いて、テクニックや歌唱力はもちろんですが、人に訴えかけるパワーに圧倒されました。偽りのない本物の音楽は自分にも周りにも正直でなければと思いました。フレーズやテーマにもう少し感情移入できるようにイメージしていこうと思います。

(ハタハタ)

メロディと歌詞の密接な関係を知り、感激でした。ピアノでは歌詞を喋ることはできないけれど、素敵な詩がもっと素敵にとどろくようなメロディを奏でられるようになりたいです。ジャズを勉強するには英語の発音の勉強も必要なのですね。普段わたしが無意識に喋っている言葉も自分の演奏のなかにあらわれているんだろうなぁ〜。

(あー)

ジャズを聴くに当たって、どうも楽器中心になって、歌を聴くことはほとんどありませんでした。ましてや、英語の歌詞の意味を考える、などといったことはあり得ないことでした。これからのジャズの聴き方に役に立ったように思いました。

(Matu-K)

 大変勉強になりました。彼女の歩んだ人生から、歌う曲に暗いイメージを持っていたのですが、今日の講座で変わりました。そして本当に表現力豊かな人だと感動しました。若かりし頃の私も、あの情熱的な歌のような想いも……。今?ゼーンゼン。

(タカコ)

何時もはどうしてもサックスを初めとする器楽の方に目が行ってしまい、考えてみればビリー・ホリディの歌を聴いたのも一年ぶりとなる。しかし、この講座で歌詞とその表現との関係の重要性について再認識させられた。
 寺井〜鷲見コンビで毎回I’m A Fool To Want Youを聴かせてもらいながら御本家を一年以上聴いていなかったのはお恥ずかしい。

(児玉勝利)

「ビリー・ホリディって知らんの?名前も知らんのか?」という一言におじけづいてしまいましたが、実際にいろいろ知れて、ほんとうによかったです。
 エラさんの講座のときよりも、なんだかゆーーたり一曲一曲きけたように思いました。どちらかというと、エラさんより、ビリーさんの方が好きみたいです。
 ジャズの曲って、ほんとうになんかストレートな表現が多くて、ドキッとする詩が多いですね。なんか不遇な人生だった(?)ようだけど、ほんと純粋な愛というか、恋する気持ちとかを包み隠さずうたってる曲が多くて、ほんとに詞を目の当たりにすると、照れてしまいます。ほんとに、ちょっときゅんとしてしまいますね。「こんなん、きみらには分かれへんやろーー」ということばに、そ、そうですね、という感じでした(笑)。
 英語がよく分からない私は、どうも歌はとっつきにくかったのですが、よかったです。  おつかれさまです。ありがとうございました。

(のんこ)

ぼくは、まだそんなにジャズシンガーを多く知らないのですが、ビリー・ホリディが一番好きです。きっかけはモンクのビデオを見てモンクの部屋にホリディのポスターが貼ってあると言っていたのでCDを購入しました。聴いた時は歌詞の意味など解りませんが、何か魂にうったえるものがありました。そのときからファンです。講座の時ホリディの経歴を見てすごい人生を歩んだ人なんだと知りました。その経験と才能がまざり、あの人の歌があるんですね……。
 ホリディの歌は歌なんですが、こちら側に語っているように聞こえました。歌じゃなく語りです。大学時代、歌を学んでいたぼくにとって、それが理想でした。一流の人って言うのは、こちらの心に語りかけて来るんですよ!あらためて、ホリディを聴いてそう思いました。心があらわれました。

(土井)

恥ずかしながら、今回の講座に参加して初めて、ビリー・ホリディの存在を知ったのですが、今回聴いたどの曲も一つ一つの歌詞に込められた表現力に感動しました。特に「Solitude」はホリディの経歴からも見られる彼女の弱さや孤独感が深く伝わってきました。彼女の歌には、独特の表現で彼女の生き方が表れているので、私も表情豊かに自分の音楽を演奏できる様、頑張りたいと思います。  実際に曲を聴きながら、師匠に分かりやすく解説していただき初心者の私にとっては、とても興味深く、楽しい講座でした。
 今後の講座も、初心者向けに、ジャズの歴史や、おすすめの曲を取り上げていただけたらいいと思います。

(ユミ)

♪ビリー・ホリディ講座、とっても良い勉強になりました。有り難うございました。
 ジャスの歌詞は、ストレートで、おしゃれで、良いなぁ、と思う反面、気持ちや情景描写が、あまりにもリアルで細かく、具体的すぎるので、英語の不得手な私には、自分の想像を膨らます余地があまり無く、ちょっと苦手だったりもするのですが、今回、じっくり歌を聴きながら、珠重さんの対訳を読み、自分では気付かない所を、師匠に解説していただけて、とても楽しかったです。
 ビリー・ホリディには、他の誰も真似できない、絶対的な力がありますね。年齢により、曲により、別人のように変わる声も、人生を語っていました。もしも、彼女が、幸せで平凡な、別の人生を送っていたとしたら、どんな歌を、どんな風に歌っていたのか、聴いてみたかったです。
 とりあえず私も、ピアノで、自分の想いを少しでも人に伝えられるように、細〜く長〜く、頑張ろうと思います!!

(さみ)

 今回のビリー・ホリディの講座、とっても充実したと思います。あれだけ一気に曲をじっくりと聴く機会というのも、自分ひとりではできないし、まずはいい曲をピックアップして、数多く出回っているCDの中から、聴きもせずに、CDを購入していくのも難しいですし。一体何からどうやって聴けばいいのか、どんなものを手に入れればいいのか、勉強になりました。
 また、フラナガン大師匠のアイドルであったビリー・ホリディ、フラナガン大師匠が演奏している曲の元となったものを、今回初めて聴いたものがあって、フラナガン大師匠の演奏と、ビリー・ホリディの歌のイメージがピッタリ一致したとき、ビリー・ホリディの歌から、フラナガン大師匠のメロディーがきこえてくるような感じで、すごく感動しました。
 歌の世界を、ピアノで表現できるという素晴らしさに改めて魅力を感じました。また、寺井師匠のTommy Flanaganとの思い出話にも感動しました。これから自分でもっとじっくり聴いていこうと思います。また、やって欲しいですねぇ〜(^∇^)

(アクビ)

師匠から感想を求められた隣の土井先輩が「涙が出そうです」とおっしゃってましたが、He’s Funny That Wayを聴くと私も胸がいっぱいになります。「今回改めて一番感動した」との師匠のお言葉通り、私も師匠の解説に助けられ、改めて非常に感動いたしました。ずっと見向きもしなかったのに、心情の紆余曲折を経てやっとそのよさがわかる歌手がいます。Billie Holidayもそういう歌手の1人です。私事でお恥ずかしいのですが、結婚直後に実家が倒産、その後長らく夫をトラブルに巻き込む羽目になりました。Billie Holidayのこの歌はその頃の私の心情そのままであります。Billie Holidayの自制の効いた歌声が心にしみ込みます。
 師匠が寅さんとリリーのエピソードを引用されていましたが、Billie Holidayの歌にはドラマがありますね。師匠はElla Fitzgeraldもお好きだと聞き、いつも「誰が好きでもかまわんけど」とお説教されている私としては、ほっと安堵の講座でもありました。
 歌い手の人生が反映されている事で歌は深みと味わいが増すものです。こういう歌は聞き手の行き場のない心情を代弁してくれます。あるいは親友の様に、聞き手の傍らに寄り添い理解し慰め励ましてくれます。その意味でも歌詞を理解する事は必須です。珠重さんの訳は秀逸であり、師匠の解説を理解する上の大きな助けになっていました。翻訳は英語力だけでなく日本語力が要求され、特に詩を訳するのは非常に難しいものです。お骨折り感謝いたします。
 さて、みなさん、クチナシの小枝がさりげなく生けてあったのにお気づきになりましたか?珠重さんの細やかな心遣いにも脱帽です。
 また、講座をお世話してくださった先輩の方々にも、心より「有り難うございます」を申し上げます。

(sumie)

「STRANGE FRUIT」の強烈な熱唱に始まりフラナガン大師匠のお気に入りである「NO MORE」までの全32曲、本当にあっという間に時間が過ぎました。寺井師匠の解説は、どの本にも書いてないまさに“ここだけ”のすごい内容でした。そして、珠重さんの詳細な対訳は、前回や前々回をはるかに上回るボリュームと微妙なニュアンスの伝わる日本語で、目で対訳を追いながら聴くことができましたので、ぐっと心に入り込んできました。
 どの曲もすばらしかったのですが、特に「VIOLETS FOR YOUR FURS」の寺井師匠の解説は、景色がふわっと目の前に広がって、自分があたかもその情景を見ているような気になりました。マット・デニス氏との聴き比べも面白かったです。
 また、ビリー・ホリディのかわいらしい歌い方、ちょっと裏返すような声など、対訳にアンダーラインが入ってましたので、その微妙な表現がわかりやすかったです。自分の耳だけでしたら、かなり聴き落としていたと思います…。
 さらに、寺井師匠は歌に注目されるだけではなく、ピアノのオスカー・ピーターソン氏やウィントン・ケリー氏の演奏も分析なさるなど、同時にいろんな音をチェックされて解説してくださるので、あぁなるほど!と気がつくのですが、私の耳には歌を聴いているとピアノは薄らいで、ピアノを聴き入ると歌が入ってこない、こんな耳をもっと鍛えないといけないなぁと実感しました。
 フラナガン大師匠が寺井師匠に「とにかくビリー・ホリディを聴きなさい」とおっしゃっていたそうですが、今回の講座では寺井師匠が私たちに同じメッセージを託されていたと思います。なぜ大師匠が寺井師匠にそのようにおっしゃったのか、それを考えることで、今回の講座の意義も同時に見いだせそうな気がしました。
 寺井師匠、珠重さん、また他の実行委員の皆様、お忙しい中いろいろと準備をしてくださりありがとうございました。

(あやめ)

 こんなためになる講座はまたとないだろう。私は今日この席に座っていれて本当に良かったと思った。実は他にも2つ程用事が重なっていたのだが、その中でこの講座を選択した事を正解だとよろこんだ。
私は今まで耳にしたジャズ音楽にそれ程強い抵抗感というものはなかったんですが、ビリー・ホリディを最初に耳にした時は、なんと毒気のある、しわがれ声で聞きにくい、と思ったのと、Don’t Explainをすごく落ち込んでいる時に聞いたので「うわー、こんなん聞いたら死にたくなる」と思って、それ以降ずっと聞かず嫌いになってました。(大げさでスイマセン)
 この講座では、寺井師が包み隠さずホリディの事を話してくれるのがすごく興味深く、時間はまたたく間に過ぎました。そして、知らずに見過ごしていた宝物を見つけた様に感動をおぼえました。一番印象に残っているのは、トミー師が目をハート型にして口をパクパクアワワしたという、ホリディの歌姫としての品格、かわいらしさや色気があったという事。こんないい話は、きっとここでしか聞けないんだろうなとうれしくなりました。また、歌う時の感情の込め方やそこから生まれる‘ため’など、本当によく聞いていると、この独特な魅力に魅了されている。又、一音一音に感情がこもっていると思う。なによりも、この人が、死んでいるこの人が、まるで目に見えているかの様に生々しく歌っているのだ。。。このときに聞いたDon’t Explainはやはり悲しかった。涙がこみ上げてきた。だけど、悲しい事を悲しいと切実に歌えるこの人は本当にすばらしい人だと思う。
 ホリディの楽しくスイングしている曲や、一緒に演奏しているミュージシャンとのコミュニケーションはとてもすばらしいと思う。それを聞いていると、‘私の人生いろんなつらい事もあるけど音楽に出会えてずっと幸福になったわ’と言ってるかの様だ。
 17曲目に紹介されていたViolets For Your Fursでの歌詞に、ホリディの強調性のある歌い方も加わり、説明していただいた、この美しい色と情景が目に浮かんでくるすごくインパクトのある曲だ。  I Cover The Waterfrontでの2バージョンの対比は非常におもしろく、寺井師に見えたビル・アームストロングさんの歓喜はこの場の状況を説明するにはかかせない存在だと思う。またこの寺井師の説明がないとまったく知らなかった事ばかりで本当にためになりました。
 すごく楽しめました。これからは、もっとビリー・ホリディを聞いてみたいという気持ちになりました。ありがとうございました。

(かおちゃん)