お気に入りのCD紹介(あやめ)

「私のお気に入りのCD」(ジャズ・ボーカル編)として、ビリー・ホリディの 次世代にあたる3人の女性ボーカリストのCDをご紹介させていただき ます。

エラ・フィッツジェラルド 『Live At Carnegie Hall』(CBS)

Live At Carnegie Hall 1.I've Gotta Be Me, 2.Good Morning Heartache, 3.Miss Otis Regrets, 4.Don't Worry About Me ? These Foolish Things, 5.Any Old Blues, 6.A-Tisket A-Tasket, 7.Indian Summer, 8.Smooth Sailing, 9.You Turned The Tables On Me, 10.Nice Work If You Can Get It, 11.I’ve Got A Crush On You, 12.I Can’t Get Started-The Young Man With The Horn-’Round Midnight, 13.StarDust, 14.C Jam Blues, 15.Taking A Chance On Love-I’m In The Mood For Love, 16.Lemon Drop, 17.Some Of These Days, 18.People
Tommy Flanagan(p),Joe Pass(g), Keter Betts(b),FreddieWaits(ds)他,Rec;1973年

ヴァンプを聴いただけでじわっと心動かされる「Good Morning Heartache」は私の理想!
 大病を克服した後、大勢の聴衆を前に見事カム・バックしたエラ。そんなエラ を暖かく見守る人々の熱い拍手。このアルバムからは、プレイヤーとリスナー の素晴らしい関係が感じられて、何度聴いても感動します。

エラはハリのある歌声で嬉々として唄い、しなやかに切々と唄い上げ、ちょっとした唄いまわし がかわいらしく少女のようで、それでいて色気を感じる・・・多面的な魅力にうっ とりします。バックのフラナガン大師匠も印象的でキレのあるフレーズを連発 し、そのアイデアは湧き出る泉のよう。確実にエラを盛り上げています。

中でも「Good Morning Heartache」は、本当に凄い!何度聴いても新鮮に感動 します!!ヴァンプの語りから身震いがします。渾身の歌声、いろいろな体験が 身となり血となり肉となり、奥に秘められた何かが染み出すような、それでい てクールな知的さが感じられ、まさに私の理想とするバージョンです。

また『Montreux'75』『Montreux'77』は聴いて楽しく勉強して楽しい、フラ ナガン大師匠の魅力とエラのみずみずしい歌声の両方を楽しめる濃い作品です! 何度聴いたことか!

寺井師匠のコメント

カーネギーホールに、モントルーの2枚は、Ellaと師匠の持つPureでCleanな品 格が良く表れた名盤!『サンタモニカ・シビック』もつけ加えて下さい。

 

カーメン・マクレエ 『By Special Request』(Decca)

By Special Request 1.Give Me The Simple Life, 2.Sometimes I’m Happy, 3.Love Is Here To Stay, 4.Something To Live For, 5.I Can’t Get Started, 6.Yardbird Suite, 7.Just One Of Those Things, 8.This Will Make You Laugh, 9.My One And Only Love, 10.I'll Remember April, 11.Supper Time, 12.You Took Advantage Of Me, 13.They All Laughed, 14.Keep Me In Mind, 15.Ohh, 16.If I'm Lucky, 17.Georgia Rose / Dick Katz(p),B.Strayhorn(p),Mat Matthews(ac)他, Rec;1955

初めてカーメン・マクレエを聴いて彼女の大ファンになったきっかけのアルバム

力みなくふわっとストレートに唄っているマクレエの歌唱をあますことなく堪能 できるアルバムだと思います。後にみられる独特のコブシはまだほとんどなく、 若々しいやわらかい歌声が印象的で、聴いていて楽しい!のびやか!暗くない!

「Yardbird Suite」では「Walkin'」のイントロが飛び出し、「My One And Only Love」 ではギターをバックにシンプルに歌い上げるさりげなさが逆にインパクトあり。 「They All Laughed」ではバック・コーラスのワーッホッホッという歌声と絡むカー メンがとても楽しげで心踊ります!カーメン・マクレエ初期の作品として一番大好 きなアルバムです。

なお1999年にCD化された『For Lady Day』(BMG)は、カーメン・マクレエが尊敬する ビリー・ホリディの愛唱曲が取りあげられていますが、アルバムとしての完成度が 高く、こちらは彼女のベスト盤だと思います。私はこのCDを聴くと、なぜだかジャ ズ講座で寺井師匠が後藤先生のライナーを楽しげに分析なさっていたことを昨日の ように思い出します。

寺井師匠のコメント

初期のきれいな歌が聴ける名盤。この後のおなべの親分的な作品もいいと思う。

 

サラ・ボーン 『Soft&Sassy』(Hindsight)

Soft&Sassy 1.Sometimes I’m Happy,2.I Cried For You,3.Out Of This World,4.You’re Blase,5.Serenata,6.Over The Rainbow,7.Say It Isn’t So,8.Stormy Weather,9.All Of Me,10.How Long Has This Been Going On?,11.Day In ,Day Out,12.Tenderly,13.What Is This Thing Called Love,14.Summertime,15.Poor Butterfly,16.I’ll Be Seeing You
Sir Roland Hanna(p),Richard Davis(b),Percy Brice(dr), Rec; 1961

あまり好きではなかったサラが大好きになったきっかけのアルバム
実はなんとなく苦手だったサラ。それなのに不思議と何度も聴いてしまうアルバム。 やがて私の愛聴盤となりました。サー・ローランド・ハナさんのピアノがまた素晴ら しく、上品なオブリガードはサラの歌声と溶け込んで、うっとりします。華がありま す!

一番好きな曲は「I'll Be Seeing You」です。音楽は耳で聴くだけではなく、 目にも見えるものだということに気づかされました。情景がカラーで思い浮かびます。 皆さんはこのバージョンを聴いてどんな景色が見えますか?

その後、何枚かの愛聴盤が誕生しました。『How Long Has This Been Going On?』 『Crazy And Mixed Up』『Gershwin Live!』の3枚は、『Soft & Sassy』と合わせ て何度も聴いてしまうアルバムです。

寺井師匠のコメント

『Sings Broadway』,『Gershwin Live!』,『Ellington集』の方が私は好きです。