工場見学は楽しい。

日本各地から、場合によっては世界中から購入した原材料を
組み合わせたり、混ぜ合わせたり、
溶接したり、切断したり、引き伸ばしたり、消毒したり、
冷却したり、色を付けたり、点検したり…
ともかく、いくつものプロセスを経て完成品を作り出す。

見ていて飽きない。


とは言え、工場見学に行って「どうだった。」と聞かれ
「楽しかった。」との感想を述べれば
それで事足れりとし得ない読者も本稿は抱えているため、
諸氏が工場見学に参加する際の注意点を指摘する。



株式会社の利害関係者から見た
工場見学のチェックポイント



(1)消費者・顧客
   高品質の製品を提供しているか。
   環境問題に真摯に取り組んでいるか。

(2)株主、債権者
   高品質の製品を提供しているか。
   環境問題に真摯に取り組んでいるか。
   在庫や仕掛品【注】がたまっていないか。

(3)経営者(取締役)、従業員
   工場内に危険な箇所はないか。
   衛生管理は行き届いているか。
   在庫や仕掛品がたまっていないか。

(4)同業者
   技術や工程に参考となるところはないか。

(5)納入業者(取引業者)
   在庫や仕掛品がたまっていないか。
   納入した製品はどのように保管・管理されているか。

(6)立法・行政・司法機関
   見学者の目に入る範囲内に
   まるで部外者からの視線を遮っているかのように
   幅広のシートで覆ったり囲んであるスペースがないか。

(7)地域社会(一般公衆)
   環境問題に真摯に取り組んでいるか。地域に貢献しているか。


【注】仕掛品:製造中でまだ完成していない物品。



事前に何も調べず
気の向くまま楽しむというスタイルの旅行を好む人は少なくない。
しかし工場見学の場合には、ある程度下調べをしてから行くのが良い。
ふらりと工場見学に出かけたのではせっかく説明を聞いても
十分に理解することは難しい。


地域への貢献活動の一環として
小中学生の工場見学を受け入れている企業は多い。

小中学校や子供会で工場見学に行く際には、
見学マナーを守ることの大切さを教えたい。
整列、人員点呼等に手間取り
見学時間を無駄にすることのないよう
児童、生徒に工場見学の事前に注意を喚起しよう。

工場見学後に御礼の手紙を送ると次回、
あるいは次年度以降の見学の受け入れがスムーズになる。
手紙によって従業員のモチベーションも高まり、
より良い製品が世に送り出されることだろう。