K社は郊外に本社と工場を構える中小企業。 ある特殊な製品の加工を手掛ける業界の中堅どころだ。 最近ある有力取引先の大企業から 「製品Xの製造・加工から撤退するので、 代わりにK社で全面的にこれをやらないか。」という話が舞い込んだ。 業績の伸び悩みに頭を痛めていたK社は二つ返事でこの申し出を受け、 製造・加工を始めたが、実は環境問題の視点に立つと その製品Xは近い将来、 市場から消えていかざるを得ない運命にある製品だったのだ。 取引先の大企業はそのことを見越し、 早めに製品Xの製造・加工から撤退して 新製品Yの製造・加工へとシフトしたのであった。 幸い、製品Xは 直ちに市場から受け入れられなくなるというものではなかったが、 法規制の強化や、何より消費者心理の動向によっては、 早期に市場から退場することになりかねない。 製品Xの製造・加工の開始はK社にとって大変厳しい選択となったのであった。 ケース: K社はなぜ取引先大企業の戦略を読めなかったのだろうか? |