中国御伽草子 西遊記

●孫悟空

■出生 花果山の頂にある石(高さ三丈六尺五寸、周囲二丈四尺)が弾けて毬くらいの石が産まれる。それが風を受けてサルとなった。
■年齢 幽冥界で帳簿を消したときの年齢が三百四十二歳。釈迦が封じた五行山の下敷きになっていたのが五百年だから、それ以上ということになる。
■別名 美猴王<びこうおう>・斉天大聖<せいてんたいせい>(自称)
孫行者(三蔵がつけたあだ名)
弼馬温<ひつばおん>(妖魔たちが蔑称として呼ぶ)
■特徴 ・火眼金リ(八卦炉に閉じこめられ、目がいぶされて赤くなった)
・雷神のように恐ろしい顔つき。
■武具 ・如意金箍棒(天河鎮定神珍鉄)重さ一万三千五百斤
・藕糸歩雲履、鎖子黄金甲、鳳翅紫金冠(龍王からの得物)
−−−三蔵に助けられたのちは−−−
・丸裸であったが、虎の皮を剥いで腰巻きに
・三蔵から与えられた木綿の着物
・緊箍と呼ばれる金の輪を頭にはめられる
■術 ・斛斗雲(宙返りする間に十万八千里飛べる)
・変化(松、三面六臂、雀など)
・身外身の法(八万四千本の体毛が意のままに化けられる。小猿、催眠虫など)
・分身の法
・摂法(吸い寄せの術。狂風を起こす)
・隠身の法(姿を隠す)
・閉水の法(水を分けて道をつくる)
・定身の法(動きを封じる)

●三蔵法師

■出生 父・光蕊<こうずい>、母・温嬌<おんきょう>。産まれるやいなや川に流されて金山寺の和尚に拾われる。十八歳で戒を授かり、母に会うために洪州へ。
■年齢 実在した玄奘が旅立ったのが二十代後半だったので、そのあたりか。
■別名 陳玄奘<ちんげんじょう>(法名)・江流<こうりゅう>(幼名)
三蔵とは太宗が与えた雅号
■特徴 ・徳の高い僧
・妖魔によれば、丸々と肥えていてうまそうということだ。
■装い ・太宗から賜った五綵金襴の袈裟を羽織り、毘盧帽をかぶる。
・九環の錫杖を手にして白馬にまたがる。
・錦襴の袈裟と紫金の鉢を荷に積んで旅立つ。

●白馬

■出生 西海龍王敖閏の第三太子玉龍。火事を起こして御殿の珠を焼いてしまったために死罪に。菩薩が玉帝に願い出て命を預かった。
■特徴 ・強靱な爪と牙を持ち、白い髭を垂らしている。
・首についた明珠を菩薩が取り除き、甘露を振りかけると白馬に。
・彫刻の施された鞍にビロードの鞍敷き。紫色の絹の手綱。(里社祠で老人から頂戴する。実は菩薩の使いの者だった)

●猪八戒

■出生 もとは天河を守る天蓬元帥(水神)であったが、蟠桃会で酒に酔ったとき広寒宮(月の宮殿)へ入り込み、嫦娥<じょうが>(月の仙女)に襲いかかり天界を追放された。烏斯蔵<うしぞう>国で高翠蘭<こう・すいらん>の婿養子になっていた。
■別名 猪剛鬣<ちょ・ごうりょう>(烏斯蔵国で自ら名乗っていた)
猪悟能<ちょ・ごのう>(菩薩が与えた法名)
八戒とは三蔵がつけた名前である。
■特徴 ・下界へおとされたとき豚の胎内に入ってしまったので豚の姿をしている。
・黒い顔にぼうぼうの髭、突き出た鼻。
■武具 ・九つの歯がついたまぐわ。太上老君が神氷鉄を鍛えてつくったもので、振り上げると炎と光が、振り下ろすと風と雪が吹く大層な代物。
■術 ・三十六の変化の術

●沙悟浄

■出生 もとは天界で玉帝に仕えていた捲簾大将<けんれんたいしょう>だったが、蟠桃会で玻璃の杯を割ってしまい、流沙の岸に流れ着いた。
■別名 沙和尚(三蔵が名付けた)
■特徴 ・黒とも青ともつかぬ血色の悪いの顔。
・帰依したあとはざんばら頭を丸める。
・九つのドクロをつないだ首飾り。
■武具 ・黄色の錦の上着を身にまとっている。
・降妖杖(妖怪を退治する宝杖。月にある桂の木を刈り取ってつくられた。芯には金が一筋入っている)
■術 ・鳳の点頭(八戒との戦いで身をかわすために使った術。どういったものかは不明)

西遊記表紙
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