舞台は2000年前の中国。７つの国に分かれていた中国は争いが絶えなかった。中でも最強国といわれていた秦王の暗殺にまつわる伝説を映画化した――というふうに作品冒頭で語られている。
　命を狙われていた秦の皇帝。中でも手強いとされていたのが残剣、飛雪、長空。３人を斬った者には報酬が与えられる。

　無名＜ウーミン＞は剣を独学で鍛え、長空を倒したことで、秦王に30歩まで近づく権利が与えられた。そして、王の前で、どのようにして長空を斬ったのかなど話をしていくうちに、秦王は無名の真の計略を知ることとなる。果たして無名は秦王を暗殺するために長空らを殺したのか――。

　二転三転して話がすごくおもしろい。物語は回想シーンが中心として進んでいくが、それがどれもつくりが丁寧。回想シーンによって衣装の色を変えていたりする。
　決闘の場面でも、雨の中や、イチョウが舞う中、湖面上など、凝りまくっている。世界にチャレンジしようという意気込みが圧倒的なパワーで迫ってくる。

　世界的にも有名になったチャン・ツィイーは今回ヒロインではない。皇帝に恐れられた３人のうち飛雪は女性だが、残剣と恋仲であり、このキャラは妖艶でなければつとまらない。残剣の待女という悲恋のポジションがあっていた。
　映像の美しさと、ストーリーのおもしろさが堪能できる作品だ。

圧巻度　
脚本秀逸度