翼をください   2001年・カナダ
出演: パイパー・ペラーボ/ジェシカ・パレ/ミーシャ・バートン
監督: レア・プール
原作: スーザン・スワン『The Wives of Bath』
 
 

 実話を元に映画化された作品。女子校の寄宿舎を舞台に少女たちの葛藤を描く。
 再婚した義母とうまくゆかず、寄宿学校へとおいやられたメアリー。ルームメイトになるトリーの案内で部屋へ案内される。このトリーという子はちょっと弾けた子で、今風の女子高生みたいに制服を着崩している。
 それよりもっと飛んじゃってるのがポーリー。タバコを吸い、パーティではパンチにお酒を混ぜたり、ロックな音楽を流したり、ちょっとした問題児だ。
 実はトリーとポーリーはお互い愛し合っている仲で、メアリーが隣のベッドで寝ていてもお構いなしにセックスをする。トリー役の子はまだ十代だっただが、ナイスバディ。セリフでも「男は私の胸しか見てない」というだけのことはある。
 トリーの妹が突然部屋に入ってきて、偶然裸のふたりを目撃したことから悲劇が始まった。体裁を取り繕うトリーと、誰がなんというおうと愛し続けるポーリー。

 実際に起こった事件はもっと悲惨なもので、ポーリーは男を殺害し、ペニスを切り取って自分のものにしようとしたという。
 「私はレズビアンじゃない」という彼女がいわゆる性同一性障害なのかはわからない。だが、作品の中ではシェイクスピアなどのセリフを使いながら、ジェンダーについても掘り下げている。自分の中にある女々しさを嫌い、男のように強くなりたいと思うポーリーは次第に破綻していく。
 それは狂乱ともいえるほど痛ましく、ちょっと現実離れしちゃっているようなかんじはする。ラストもかなりやりきれない。

 ちなみに、タイトルにもある「翼をください」とはなんなのか。
 ポーリーが森で飛べないハヤブサを見つけて介抱するのだが、その甲斐あってハヤブサは飛べるようになる。果たして彼女はどうなのか……。
 映像と音楽が美しく、また、脚本も洗練されていて、しゃれたジョークもあり、少女たちの生活も違和感なく描いているのがいい。

 語り手でもあるメアリーの存在感がなさすぎるが、まあ、それは実話が元なのだからしょうがないのか。
 でも、この作品のテーマは面白かった。「モーリス」という映画もそうだったが、学生時分は同性同士の恋愛をしていたけど、社会のことを考えると突然にひた隠そうとする恋人に苦悩する。トリーもまた両親から勘当されたくなくてポーリーを避けてしまうのが悲しい。そして、そのことが大人になることだと言い切ることも。

Hシーン 
切ない度 


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