メメント   2000年・アメリカ
出演: ガイ・ピアース/キャリー=アン・モス/ジョー・パントリアーノ
監督: クリストファー・ノーラン
 
 

 プロローグはなんとも鮮烈だ。
 ポラロイド写真に写った血の海の画像がどんどん消えていく。なに!?怪奇現象か? いやいや違う。テープの巻き戻し再生を利用したシーンになっているのだ。時間はどんどん巻き戻り、血を流した男の写真を撮っていたことがわかる。男を殺した人物はなんと主人公のレナード!
 なぜこんな猟奇殺人みたいなことをしているの? なぞのまま時間はさらに10分前へとさかのぼる。
 レナードはファーストシーンとは別のポラロイド写真を手にしている。写っているのは殺した男だ。写真には「ヤツが犯人だ。殺せ」と書いてある。それに従い行動を起こすレナード……。

 レナードはある事情から記憶障害を煩っていた。新しい記憶は10分もしないうちに忘れてしまう。だから彼は常に写真を撮り、重要なことはメモをしている。それだけで不安な彼は、体に入れ墨までしてメモを取っているのだ。
 レナードはなぜひとりの男を執拗に追いかけているのか。彼の記憶障害を知って罠に落とそうとしている人物は誰なのか。
 事件は10分さかのぼるごとに解明していく。

 冒頭に山場をもってくる構成はよくあるのだが、「メメント」は10分ごとに過去へさかのぼるという奇抜な構成になっているので、まるで主人公レナードのように記憶を失った世界へ放り出されたような感覚になれる。
 起きるとベッドに知らない女が寝ていたり、クローゼットを開ければ覚えのない男がロープで拘束されていたり、そんなシーンから突然始まるので全編にわたって謎解きをしているみたいなかんじ。
 だけど、通常の時間の流れとは違うから、見ているうちに混乱してしまうことも……。
 でも、大丈夫。DVDではリバース・シークエンス再生機能というのが特典にあって、順番を入れ替えない、普通の時間の流れで物語を再生してくれる機能がある。これで謎はすっきり!

 記憶障害と奇抜な構成を組み合わせたことで平凡なミステリーが、極上のエンターテイメントになった。他の作品では2度と使えないこの構成は見ておくべし!

ミステリー度 
新感覚度 


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