ダンサー・イン・ザ・ダーク   2000年・デンマーク
出演: ビョーク/カトリーヌ・ドヌーブ/デビット・モース
監督: ラース・フォン・トリアー
 
 

 この映画を見ようと思ったきっかけは、わたしの好きなお笑いコンビ、ココリコの田中直樹さんが「これはすっごくいい!」といっていたから。(といっても、実際会ったわけではなく、テレビでそういっているのを聞いただけだが・・・)
 だから、この映画の冒頭を見たとき、「どうやら彼とは趣味が大きく異なるみたい・・・」と思ってしまった。
 というのも、手ぶれがひどくて、CG技術が進んでいる現代の作品にも関わらず、映像も鮮明ではなく、インディーズ映画のようなノリなのだ。しかも、舞台俳優をドキュメンタリータッチで追うようなカメラワーク。
 この作品のどこが彼を虜にしたのだろう・・・わたしは見続けた。

 タイトルから想像はしていたが、主人公の女性は歌うことが好きで、劇団にも所属している。ただ彼女は目が不自由で舞台で演じるのは、困難だった。仕事をしていても、歌っている妄想を見る。
 ダンサーを夢見るのはわかるけれど、突然ミュージカルが始まってしまったのには意表をつかれた。主演のビョークの声は確かに美しい。だけど、ミュージカルには馴染みがなくて・・・戸惑いながらもわたしは見続けた。

 彼女の目は日に日に悪くなっていく。息子のために必死になってお金を貯めているのだが、そのお金が盗まれたところから物語は劇的に進行していく。
 信頼していた人の裏切り。それでも彼女は遺伝してしまった息子を救いたい一心で行動を起こす。
 物語も架橋にさしかかれば、どうせラストはこうなるんだろうなぁ、なんて予想をするのだが、きっと、あなたの予想も見事に裏切られるだろう。どの映画よりも衝撃的だった。どんなに酷たらしいサスペンスもこれには勝てない。・・・それ以上はいえないのです。

 ただ、いえるのは、ティッシュを用意しておきなさいということ。感動とはまるで反対の感情なのだが、涙が止まらなかった。
 最後まで妄想の中で歌い続けた彼女。悲しすぎます! そこでようやくこの作品がミュージカルであることの意味が分かった。この作品はミュージカルでないといけません。本当に映画は最後まで見ないとわかりませんね。
 そして、ラストの静寂を見たとき、わたしは映画館の観客を想像した。きっと、その静寂の中で、何人もの観客のすすり泣く声が聞こえただろうと思う。

 そして、最後にいいたいのは、「これはすっごくいい!」ということ。感動を押し売りしているような作品には飽き飽きしているという人におすすめします。

号泣度 
衝撃度 


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(C) Sachiyo Kawana