映画 ジャングル大帝
原作: 手塚治虫
 
 

『ジャングル大帝』は漫画誌で連載され、テレビアニメにもなった。珍しい白いライオンが王の物語。
 マンガでは半分ほどまでレオの幼少時代が描かれているのだが、物語を2時間にまとめたのが本作で、レオの子供、ルネとルッキオが生まれたところからはじまり、ムーンストーン伝説を中心に人間の欲深さなど、原作者のメッセージをうまく織り込んであるが、さすがに2時間ではすべてを伝え切れていないのが残念。

 ジャングルで見つけたムーンストーンは、巨大なエネルギー源になるとして、手に入れようと人間の侵略が行われた──という話しで、子ども向けの楽しいアニメとはいいがたいが、こんな方向のアニメがあってもよいだろう。
 動物たちは人間を目の敵にしているが、レオは人間と共存することを願っている。病気が流行しても人間なら直せる。自然の掟に反することかもしれないが、人間だけが医療にあやかってよいというのもおかしな話で、わたしはレオの考えに共感できた。
 息子のルネは人間の世界にあこがれてひとりでいってしまう……。
 マンドリルのマンディ爺さん、カモシカのトミー、オウムのココなどが脇を固めるが、ディズニーの『ライオンキング』とはなんら関わりない。キャラクターや、息子が王国を出ていくなど、舞台設定は非常に似ているが、テーマが根本的に違うようだ。

 マンガのリバイバルブームで古いマンガが注目されている。わたしも愛蔵版で『ジャングル大帝』読んだが、ジャングルの原住民がステレオタイプに描かれていることに末尾でふれている。マンガでは修正のしようがないが、映画では原住民は登場しなかった。時代は変わるもんだなぁと思った。
 あと、ジャングル大帝って、タイトルは知っていても、結末を知っている人は意外に少ないんじゃないだろうか。わたしはその結末に驚いたのだが、みなさんはどう思うでしょう?

原作忠実度 
ファンタジー度 


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(C) Sachiyo Kawana