シンデレラは12時に近づくと慌ててお城を立ち去った。
その時、シンデレラはガラスの靴を階段に置いてくるのを忘れなかった。
きっと、王子様がガラスの靴を持って自分を捜しに来てくれるにちがいないと思ったからだ。
しかし、待てど暮らせど、王子が現れる様子はいっこうになかった。
それもそのはず。ガラスの靴は12時の鐘の音とともに魔法が解けて跡形もなくなってしまったのだから。
「おばあさんのお耳はどうしてそんなに大きいの?」
「お前の声がよく聞こえるようにさ」
「おばあさんのお目々はどうしてそんなに大きいの?」
「お前の顔がよく見えるようにさ」
「おばあさんのお鼻はどうしてそんなに大きいの?」
「知りたいか?」
オオカミはとうとう本性をあらわし、布団をはねのけて起きあがった。
すると、赤ずきんちゃんは口に手を当て、「まぁ、ステキ!」と叫んだ。
アリは夏の間、一生懸命働いた。冬の蓄えは今のうちからやっておかないと間に合わないのだ。
一方キリギリスは毎日を歌って遊んで暮らした。
そして、冬が来た。
アリは地道に集めた蓄えで細々と暮らしている。
ところが、キリギリスは夏に思いつきで口ずさんでいた曲がCDリリースされ、ミリオンヒットをとばしていた。
おかげで左団扇の毎日。
人生なんてそんなものだと、この話は教えてくれている。
お夕はお世話になったお礼にと、隣の部屋にこもってなにやら、ぎったん、ばったんとはじめた。絶対に覗くなといわれたが、じいさんは見たくてしょうがなかった。お夕は何をはじめたのだろう――。
ふすまを開けるとお夕は形相を変え、がちょうを追いかけていた。羽をむしり、ダウンジャケットをこさえていたのだ。