絵物語
イラストと写真で綴る物語。
イラストはbareさん。『フリー素材のHP ふわふわ。り』より。


  あわてんぼうのサンタクロース


開けるのを心待ちにしていた箱
なんど開けても空っぽで
奥の方までのぞきこんだら
ちょっとした不幸と
ちょっとした幸福が転がっていた
あわてんぼうのサンタクロースが
間違って入れてしまったのではない
ひとつの箱の中にはいつだって勝者と敗者がいる
箱の中から逃れることは出来ない
逃げてはならないのだ
あなたに、無情な強さと
あなたに、優しい弱さを



  ある日の妄想


頭の中で舵を取る小娘がいる
あたしにまかせておけば間違いないよ、なんてうそぶいて
気っぷの良さは誰譲りでもなく
地団駄を踏むその足まで軽やかで
後先考えぬ小娘がわめき散らすんだ
しょーもないことで悩んでんじゃないよっ!

鬱という蜘蛛の巣に引っかかりながら、小娘がもがいている
あたしにまかせなってね
そんなこといわれても、どう見たってあんたにも助けが必要じゃないかって、笑いがこみ上げてくるんだ
わたしにもあんたが必要で、あんたにもわたしが必要なんだよ

ほら、まだまだ浮かんでくる……



  届け


海の向こうに見える街の灯火も、空に浮かぶ月の光も、同じだけ遠かった。
だけどね、毎晩見ていると、1ミリずつ近づいてきているような気がするんだ。
手の届かないものなんて、なにもない。
想像するんだ。手を伸ばす無邪気な自分を。
想像するんだ。手にふれた確かさを。
想像するんだ。手に入れた心地よさを。
想像するんだ。あしたの自分を。



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(C) Sachiyo Kawana