スーパーファミコンヘラクレスの栄光III 神々の沈黙
 
(1992年4月24日発売 データイースト)

★ロールプレイングゲーム

■□不死身の体を持つ主人公□■
 シリーズ第三弾のRPG。オーソドックスなゲームシステムながら、シナリオが秀逸であり、プレイしたことのある人たちの間では評判がよいゲームだ。

 母なる大地、ガイアが傷つき、あちこちで穴があき、そこから魔物が出てきて世界の人を苦しめていた。こうなったのはみな人間の身勝手な行動によるものだ。ゼウス神はガイアを救うためなら人間などどうなっても良いと思っていた。人間はまた造ればいいことだ――。

 主人公は目が覚めると妖精たちの住む村で介抱されており、記憶が全くなかった。地震が起こり、奈落の底へ落ちるが死ぬことはなかった。人間なのになぜ不死の体を持つのか。そして、ときおり見る夢は何を意味するのか。
 夢に出てくる不死の仲間と出会い、自分探しの旅をしながら、世界の異変に巻き込まれていく。なぜ神は救ってはくれないのか。
 徐々に謎が解き明かされ、神々の計画が明るみに出てくる。

 ギリシア神話のモチーフを中心にオリジナルストーリーが展開する。人間と神の子ヘラクレスは主人公らとともに戦うが、主役ではない。従来通り、魔法は使えないが、人間よりは力持ちではある。ヘラクレスは果たして敵か味方か――。

■□神の恩恵□■
 町中にあるヘルメス神の石像に話しかけるとセーブできる。ギリシアから遠く離れたところではヘルメスの形をしていないが、ヘルメスと話が通ずる。
 あるアイテムを入手すると天界へと行くことができ、神々と話ができる。ゼウスによって天空に幽閉されたウラノス、同じく塔に幽閉されたプロメテウス、黄泉の国の王ハデス、時の支配者クロノス等、神々のそれぞれの思惑も見所である。

 ギリシアに点在している神殿の中には泉があって、それぞれ祀られた神の恩恵を受けることができる。主人公らの体の中に力がみなぎり、特定の魔法を覚えられるようになる。一定のレベルに到達すればそれ以降は自動で使えるようになる。新しく仲間を加えたらもう一度その仲間のために訪れる必要がある。

■□特技□■
 武器はなんでも持てるが、特技を身につけておいたほうが能力を発揮できる。剣、斧、槍、鞭、弓、素手があり、その特技を教えてくれる人は町や町の外にぽつんと建っている指南所にいる。1人3つまで覚えられる。

 隊列は1人1人設定でき、前方か後方かを指定できる。後方の場合は槍や弓など攻撃が届く武器を装備しないと攻撃できない。
 また、敵の中には瀕死の状態になると後方へと下がってしまう者もいるので、前列に設定していても剣が届かないので、槍が使える仲間がいるほうが便利だ。戦闘中の武器の持ち替えは主人公だけしかできないのが難点だ。

 身につけるものの中には道具として使うと魔法と同じ能力をもつ物がある。杖や指輪は使用回数が決められているが、盾や武器、兜などは何回も使える。

■□不死の仲間□■
 まず最初に仲間になるのは妖精たちである。一度に9人仲間になってついてくるが、攻撃を受け、HPが尽きると死んでしまい、復活はしない。そのほか女の奴隷や兵士などがいるが、いずれも同様である。他のRPGと違い、普通の人間と不死の者は明確に分けられていることがこのことからもわかる。
 HPの数値は9人の合計なので、HPを9で割った数が1人のHPで、その数値を下回ると1人ずつ死んでいくが、死ぬ前なら回復もしてあげられる。イベントの一環ですぐにパーティから離れるのでそんなに気にすることもない。

 夢の中で見かける不死の仲間と出会い、ともに謎を解き明かす旅に出る。旅の途中で、不死の命を与えられたのは3人だけらしいということを知るが、なぜか4人になってしまう。そこの謎もやがて解明されるのでここでは言及しない。

 仲間たちはAI(人工知能)でも戦ってくれる。作戦で「たのむ!」にすると自分でコマンド入力できるが、信頼度が低いうちは自分のいうことを聞いてくれないこともある。信頼度はレベルが上がると上昇していき、町中で人の家の机や壺の中にお宝を見つけて取ってしまうと信頼度が下がることになってしまう。

 主人公が戦闘中、HPが0となってしまうと気絶となって一時的に戦闘不能になる。他の仲間のコントロールは不能となって自動戦闘となる。細かく指示ができないので、なるだけ主人公は気絶させない方がいいだろう。このRPGは主人公=プレイヤーという法則が守られているので、主人公はしゃべらない。なので、気絶してしまったらコマンド入力もできないようになっているのだろう。
 主人公も仲間も不死なので、気絶しても戦闘終了後には意識が戻る。HPは0のままなので、薬草や回復魔法でHPを回復すればよい。また、アイテムで戦闘中に復帰させることもできるし、レベルが上がれば魔法でもそれが可能になる。

■□その他のゲームシステム□■
 主人公らは深い穴に落ちても、崖から落ちても死なない。落ちたい方向へ二度十字キーを押せば飛び降りる。フィールドの段差も飛び降りできる。
 大穴の底は冥界になっていて、初めのうちは敵が強いと感じるだろう。そのそれぞれの穴にはお宝が1つか2つあり、地上へ戻るには吹き出す間欠泉に乗って戻ってくる。

 アイテムは全部で48個しか持てない。いっぱいになってしまったら売るか、穴を掘って埋めておくかである。埋めた場所は覚えておかないといけない。のちに預かり所が出てくるが、引き取りには少額だがお金が必要。重要アイテムはそれらすべてできないので、あとになってくるほど持ち物管理に困ってしまう。

 昼夜の概念があったり、ときおり地震で画面が揺れたり、異常気象で画面が陽炎のようにゆらめいていたりと、世界の異変の演出もなかなかのものである。
 ストーリーも練り込まれていて、一転二転し、戦うべき存在とはなんなのか、最後までわからないのもいい。戦闘システムにやや自由がなく、ボスが総体的に弱いが、それを差し引いてもオリジナリティのあるおもしろゲームである。

※このゲームはWiiのバーチャルコンソールでダウンロードできます。
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