■□日本神話をモチーフに□■
2006年4月20日に発売されたクローバースタジオ開発のプレイステーション2用ソフトがWiiに移植されて発売となった。移植はレディアットドーン。ヌンチャクとリモコンの振り、ポインターに対応している。
ブラウン管と液晶をオプションで選ぶことができるが、あまり大差はなく全体的にぼやっとしていて、文字を読むのに目が疲れてしまうのが非常に残念。
ディレクターの神谷英樹氏はストーリーも手がけているが、移植版に関してはノータッチのようである。
画風は日本の絵巻物のようで特徴的だ。力強い水墨画のようなタッチで鮮やかな彩色。平面的なんだけど3D空間を実現している。桜の木なんかもそうなんだけど、平面に描かれた絵だが、キャラクターが後ろへと回り込もうとすると絵が向きを変えて常にプレイヤーには表の絵の面が見えるようになっている。
ストーリーはもちろんオリジナルだが、日本神話や昔話に出てくる人物名が多々登場する。
100年前の時代、神木村ではヤマタノオロチに生け贄を差し出していた。それを阻止しようと立ち上がったのはイザナギ。だが戦いは厳しく倒れそうになったとき、村をうろついていた白い犬が不思議な力で援護し、勝利を収めた。白い犬というのは実は大神アマテラスで、村に奉られることとなった。
それから100年、何者かが封印していた剣を抜き取り、ヤマタノオロチは復活。タタリ場が現れるなど世界が乱れた。木精サクヤ姫は大神をこの世に呼び戻すが、アマテラスはかつての力がすべて備わっていたわけではなかった。
旅絵師イッスンと共に力を取り戻すべく旅に出て、ヤマタノオロチを討伐する。
■□アクションと謎解き□■
ジャンル的にはアクションアドベンチャーで、ミニゲーム要素でアクション性が要求されることや、仕掛けを解く場面もあったりする。
時間内に脱出したり、通り抜けなければならない場所では失敗するとやり直せることもあり、何度も失敗が続くとスピードがゆるくなったり、通りやすい地形に変化していたり、何とかクリアできるような配慮もあり、おそらくはアクションが苦手な人や子供でも楽しめるように作ったのだと思われ、カプコンのゲームにしては難易度は高くないといえる。
通常の敵は掛け軸のような姿をした百鬼絵巻と呼ばれるシンボルがうろうろしていて、それに接触すると円形のバリアが張られ、その中で敵と戦闘になる。初めて接触する敵だとその直後に絵巻物で妖怪名と共に知らされ、どんな敵なんだろうとどきどきさせられる。
要所要所で強制的に戦闘を強いられるが、RPGと違い、経験値はないので通常の戦闘は避けて通ることもできる。
ただ、敵が落とす妖怪牙を集めたり、妖怪面相書きに書かれた妖怪を討伐するためには戦闘が必要となるのでコンプリートを目指そうとすれば深い遊び方もできる。
妖怪はそれぞれ特徴があって、弱点を知らないと攻撃してもいっこうに体力を減らせないことがある。ゲームオーバーとなってしまったとき、コンテニューで再開すれば妖怪絵巻物に接触した妖怪が追加されていて、特徴が書かれているのでそれを読めば倒し方がわかるようになっている。
■□筆しらべ□■
神秘の力、筆しらべはアマテラス復活時には使えなくなっている。全部で13種あったが散り散りになって分神が守っている。各地でそれを見つけ、夜空に浮かぶ星座を筆で補完すると分神が現れ、アマテラスに力が宿る。
Zボタンを押すと画面がセピア色になって時間が止まる。リモコンを画面に向けてAボタンを押して図形を描き、Zボタンを離すと筆しらべの効果がその場所に現れる。
風を吹かせたり、爆弾を落としたり、水面に蓮の葉を浮かべて足場を作ったり、水や雷や火を誘導させたりと、仕掛けを解くときにも多く使われるが、戦闘でも効果がある。
ストーリーを進めていくと自然と13の分神と出会うようになっているが、応用の筆しらべは自力で探し出すようになっていて、なくても進行上の問題はない。
移植作品に限ってなのか、思うようにいかないことが多い。線を引いてもなにも起こらなかったり、風を吹かせたつもりが蓮の葉が浮かんだり、花を咲かせるつもりが太陽が昇ったり……。操作性はリモコンと相性がいいはずなのにもう少しちゃんと調整すべきとことはしてほしかったし、星座の点を打つ場面ではもっと判定を甘くしてほしかった。DSのゼルダやWiiのタクトオブマジックは快適なので可能なはず。
■□三種の神器□■
アマテラスの装備品は神器と呼ばれ、鏡、勾玉、剣があり、同時に2つ装備できる。表に装備したときは充分に攻撃力が発揮される。
鏡は裏に装備するとCボタンで盾となる。
勾玉はムチのような感じで攻撃をして、ボタンを長く押していると多く体力を削れるので攻撃しやすい。だが、のばした勾玉が自分のところに帰ってくるまで身動きが取れないので、動きの速い敵だとその間に攻撃されてしまう。裏に装備するとCボタンで玉を発射させて攻撃できる。
剣は動きが素早く、溜め押しすると攻撃力が増す。
敵に対してテンポ良く攻撃するとコンボとなって、その回数が表示される。コンボが続くと神格が上がって画面の左下に「大神」とでる。アイテムを使って神格を上げることもでき、何回か敵からの攻撃から身を守ってくれる。
■□収集要素□■
体力を示す太陽器、筆しらべに必要な墨入りのひょうたん、体力がゼロになったときに復活できる胃袋、持てる金額が増えるお財布は数を増やすことができる。それには「幸玉」が必要。
幸玉は枯れ木に花を咲かせたり、土の中に埋もれたクローバーや呪われた土地を回復させたり、そのへんにいる動物にエサをあげたり、困っている人を助けたりと、いいことをするともらえる。
サブクエストも豊富なので、ストーリーそっちのけで探したくなってしまう。
釣りをしたときに釣り上げた魚図鑑や拾った骨董品図鑑、集めるといいことがあるというはぐれ玉など収集要素もいっぱい。
昼と夜の概念があって、夜になると宝箱が埋まっている場所が光っている。昼でも近くに行けばほんの少し宝箱の頭が見えていることもあるのだけど、夜だと遠くからでもわかる。
■□全体的な感想□■
かなりゼルダの伝説に影響を受けているように見える。プレイヤーとなるアマテラスはしゃべらず、お供のイッスンがナビィのようなナビゲーターとなって物語をすすめる。実際、ポストマンのパロディと思われる飛脚がフィールドにいたりするのだ。
それでも独自の路線で構築されていて、快適なアクションで楽しめる。道ばたのお地蔵さんや、壁にへばりついている猫の像など、気になる物もあとで関わりを持てたり、いろんなことを探し出すのがおもしろい。
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