■□新感覚アドベンチャー□■
今でこそ2枚組3枚組のゲームは当たり前だけど、テレビゲームを前編後編に分けるのは前代未聞。しかも、セットではなく書籍のように別々に販売ってことを考えると、任天堂も強気でした。
勉強不足なのか、「ポートピア連続殺人事件」や「ファミ探」のような推理ゲームをどうしてアドベンチャーゲームというのかわからない。見出しに新感覚とつけたものの、「新・鬼ヶ島」はまさに「アドベンチャー」っていうような気がする。
事件の謎を推理して調査をし、謎を解き明かすのではなく、前に進むにはどうしたらよいのかを考えてコマンドで行動をうながすゲームだ。たとえば、手が届かないものをどうやって手に入れるか、流れの速い川をどうやって渡ろうか、山の中を探索して目的の場所を見つけたりといった具合。
■□ストーリーは?□■
昔話のセオリー通り、子だからに恵まれないおじいさんとおばあさんがそれぞれ子供を拾ってくる。竹の中にいた女の子と、こちらは風変わりなのだが、川から流れてきたフタつきのおわんに入っていた男の子。川から流れてきたといったら桃太郎だし、おわんに入っているのは一寸法師だし、果たして彼らの正体はなんでしょうね?(ゲームの中であかされます)
むかし話というだけあって、色んなところで見知ったキャラクターに遭遇する。サングラスをかけた金太郎をはじめ、「お〜、お〜」と意味不明な言葉を連発する天狗など、個性的なキャラクターばかり。
主人公の少年も言葉が一風変わっていて、今でいうとキャラ萌えってやつだ。なんてたって、主人公の女の子は8歳で巫女装束。任天堂にしてはぶっとんだキャラだなというかんじ。
そして少々意地悪な仕掛けもある。切り立った崖の細い道を歩いているとき、崖をのぞき込むと転落してゲームオーバーになってしまうので、それに懲りたプレイヤーは次の断崖絶壁も調べごとをせずにさっさと道を進んでしまうのだが、なんとその道には重要なアイテムが落ちている。普通にプレイしていたら一度目は見落としてしまうこと間違いなし!
グラフィックの枚数が多いため内容量の都合上でか、先にプレイした「ファミ探」よりも短く感じたが、名作と呼ばれるにふさわしい魅力を持った作品。エンディングロールはスタッフが漢字表記で、男の子の主人公が故郷に帰っていく様子が紙芝居風に演出されて凝っていた。
■□ザッピングシステム?□■
このゲームで目を引くのは主人公がふたり(先ほど述べた竹の中の女の子とお椀の中の男の子)いて、プレイヤーの判断で視点を切り替えることができることだ。
知力系なら女の子に任せ、体力系なら男の子に任せる。ふたりが別々に行動を取ることがあるが、その時も「ひとをかえる」で視点を切り替えてそれぞれが行動を取ることができる。
ラストはその切り替えのタイミングも重要になってくる。なかなかゲーム性が高い。
■□裏技?□■
最終章で女の子が天狗に何度も話しかけると、緊迫した状況もそっちのけで天狗のクイズがはじまる。全問正解すると「いおうだま」のありかを教えてくれるのだけど、このタイミングで教えてくれてもねぇ。天狗と一番最初に会ったときに教えてほしかったぞ。
そもそもこのクイズは一気に16問出すのではなく、2回ほどに小分けしてやるつもりではなかったのだろうかと思ってしまった。天狗が出現したのは3章で、それ以降8章の終わりまで出てこないので、仕方なく最後にまとめて蔵出ししたんだろうか。
ま、このクイズのおかげで、8章で主人公らの故郷であるながくし村に帰ってしまうという展開もあるということがわかったからいいか。
■□移植ソフトで遊ぼう□■
ファミコンミニシリーズ発売! 完全移植なので当時の懐かしさもひとしお。
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ファミコンミニ『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』 GBA 2004.08.10
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※ジャケット写真をクリックすると amazon.co.jp による作品紹介ページへ移動します。
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