雲と見まごう花の群れ。
りんは一枝手折って上目遣い。
「殺生丸さまの髪に飾ってもいい?」
私はもう一枝手折って、りんの髪に挿す。
「このほうが似合う」
みひらく瞳の中に、舞い散る花弁と私の姿が見えた。
――うすべにが降り注ぐ春、花見月。
2010.03.19
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