毛づくろい(爆)






殺生丸の髪を梳くりんちゃんです。 以下、短文がございます。







りんは、殺生丸のそばの石に腰掛けて、そっと銀の髪を手に取った。 どんな天候の日でも、例えば今日のように雨後の水分を吸って大気がしっとりと重い日でも、殺生丸の髪は常と変わらない。 月の光を集めて糸にしたような光を帯びて、さらさらとりんの手の中を滑る。

いつの頃からだろう、殺生丸が己の髪に手を触れるのを、りんに許したのは。 邪見が与えたらしい櫛を手に、控え目に殺生丸の髪を梳いてみたいと言っていたのを最初は「要らぬ」と退けていたが、ある日無言の許可を与えたところ、おずおずと側に寄って来て、そうっと髪を手に取った。 りんは最初その手触りに驚いて「わあ」とかなんとか言っていたが、「ようし!」と大真面目な顔で大切な物でも預かったように殺生丸の髪を梳いたのだった。 殺生丸にしてみれば、返事をするのが面倒でもありりんにそれを許したのだが、いつの間にかその習慣が続いている。

もとより、殺生丸の髪は梳かずともその毛筋が乱れる事なぞ無い。 りんの持つ櫛は、何の抵抗も無く殺生丸の髪をすり抜けてしまう。 深山に湧く清流にように手に捕まろうとしないその髪を、りんは丹念に手に取って何度も櫛を通すのだ。

せっしょうまるさまの、髪
りんの手の中の、銀の泉……

* * * * * * * * * * * * * *

そして、いくつかの四季が通り抜けた。 りんは、いつまでも子供のままではいられない。 あれから数年、少しだけ背も伸びた。 こうやって石に腰掛けて髪を梳いていると、座っている殺生丸の頭が以前より近い。 もう石に腰掛けなくても、銀の髪にちゃんと手が届くだろう……。

<終>










ちなみに画中に生えているのは、山芋、です。 髪を梳き終えたりんちゃんは、この山芋をぐわっつぐわっつと掘り返して、ご飯にします(笑)

2004.06.08



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