2010年のハロウィンTOP絵

クータルはカボチャを食べすぎたんだよ、たぶん


間違い探し……って、バレバレすぎですね。

以下はおまけのハロウィン短文です。







「はははは、クータル、なんだよその頭!」
 谷間の宿営地に笑い声が響く。マシュラはおかしくてたまらないというように笑い転げている。
「ミーもこんなおかしなものを見たのは初めてです」
 サーゴは身をよじりながらお腹を押さえている。笑いすぎてお腹が痛くなったというやつだ。彼らの視線の先には仲間のマトリクサー「クータル」がいる。
「ボクだって驚いたんだな」
 クータルは、いやお化けカボチャは頭をかいた。ぼりぼりと硬い音がする。驚くべきことに、朝起きたら突然こんな頭になっていたのだ。
「クータルさぁ、カボチャの祟りとかじゃねーの?」
「心あたりは?」
「知らないんだな、いつも残さず食べてるんだな」
 お化けカボチャの顔のせいで、困っているのか困っていないのか全くわからない。クータルの顔のあるべき場所で、大きなカボチャがほくそ笑んでいる。

 そんな彼らの様子にヤクモは必死に笑いをこらえた。しかしこのままというのも少々問題だ。ヤクモは「元に戻るのでしょうか」と心配そうにマシュラを見た。しかしそのときのマシュラの顔といったら、妙に目を輝かせて『危険』なことこのうえもなかった。
「なーなー、クータル。ハイパーフォームしてみたら治るんじゃねーの?」
「ハイパーフォーム?」
「だってさ、ハイパーフォームの力で頭なんかすぐに直せそうじゃん。それに面白そうだしさ」
 その言葉に一同は顔を見合わせた。どうしてこうなったかはわからないが、試してみる価値はあるかもしれない。

 となれば善は急げだ。皆でクータルを取り囲み、かたずを飲んだ。サーゴがすうっと息を吸い込む。
「では……心の準備はオウケィですね、クータル」
「い、いいんだな」
 お化けカボチャの顔をしたクータルは頷いた。どう見ても真剣な顔に見えないのは、この際しかたがない。
「いいか、クータル。せーの、3、2、1!」
 景気づけにマシュラが掛け声をかけた。振り上げた拳でリズムをとる。マシュラも、サーゴも、ヤクモも、クータルの変化を一つでも見逃さないように目を凝らした。

 体から発する光がまばゆく周囲を射る。風船のように丸々とした体が光とともに精悍に引き締まった戦士の体へと変化してゆく。鍛えられた筋肉、いかめしい鎧、剽悍さの表れでもあるような、豊かな黄金色のたてがみ。彼のハイパーフォームは見事というほかない。
「クータル! 元に戻りましたか?」
 ヤクモは駆け寄って声をかける。黄金色のたてがみを靡かせてハイパークータルが振り返った。
「…………!」

 そのとき現れたハイパークータルは、「剽悍なカボチャの顔」をしていたという。


 後日譚。
 マシュラのちょっとした好奇心は、奇妙な結末をもたらした。カボチャのシチュー、カボチャのパイ、カボチャのスープ、カボチャのサラダ……それから一週間のあいだ、彼らの食事は朝から晩までカボチャ料理ばかりになったのである。さすがのマシュラも「こんなにカボチャばっかり食べてたらカボチャになっちまう!」と逃げ出す始末。どうやらおかしなハイパーフォームをさせられたクータルの地味〜な意趣返しらしい。ちなみにクータルのお化けカボチャ現象は一晩寝ると元に戻ったそうだ。Trick or treat! お菓子くれなきゃカボチャにするぞ〜!

<終>




サイト収納:2010年11月5日


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