実績データの検証
商品実績データについては、多くの小売り企業がPOS(販売時点情報管理)システムを導入して単品管理を行っている。それによってリアルタイムに何が売れたかが即時に分かる。
このようなデータは「商品管理日報」「商品管理週報」「商品管理月報」としてバイヤーの手元に流され、売上高や仕入高、在庫高、租利高(率)、ロス高(率)などを把握することができ、それぞれの課題に対して素早く対策が打てるようになっている。商品実績データは、店頭での実績・結果として客観的なデータだが、それには次のような前提条件がある。 ′
①店頭在庫の中の実績データであること。
②売り場での商品展開や商品の取り扱い状況の影響を受けての結果。
③販売スタッフの販売技術や販売意欲、アプローチの強弱等の影響を受けての結果。
④商品の色切れ、サイズ切れ・欠品状態の影響を受けての結果。
⑤商品のデリバリーや商品フォロー状況の影響を受けての結果。
従って商品実績データは、商品動向をつかむ情報としては事実を表したものであるが、
絶対的なものではないということを十分認識する必要がある。
店頭情報の検証
店頭の商品動向を把握するもうひとつの方法は、営業日報や週間情報など販売スタッフが日々の接客販売活動から得られた店頭情報である。この店頭情報は、売れ節商品や死に節商品などの商品動向の情報だけではなく、店頭のさまざまな情報を集めることができる。
例えば、計数目標に対する達成・未達成の要因やお客さまの購買動向、品揃えに対する要望、売り場展開に対する反応、販促イベントに対する反応などがある。そこで次のような情報収集の目的が必要になる。
①計数槻況:
売上高・仕入高・在庫高・粗利益高・ロス高等の予算に対する結果と達成・未達成の要因。
②商品動向:
よく売れた商品、売れ行きが止まった商品、新しく動き始めた商品等の情報。
③客動向:
お客さまの商品購買状況、購買時点のお客さまからの色、サイズ、パターン、デザイン、
素材、丈、シルエットなどについての要望。
④販売動向:
イベントや目標に対する反応、接客サービスに対する反応、商品の取り扱い方や売り場展開上の問題点に対する情報収集。
⑤競合店動向:
競合店の客動向や中心商品、売れ新商品、提案主張商品、価格帯、売り場展開、接客状況などの動向。
⑥課題対策:
店頭における商品分野などの課題に対する項目と対策ポイント。
この店頭情報についても販売スタッフの情報収集能力や売り場とコミュニケーションの取り方で
情報量と質レベルが大きく変わるので、そのスキルアップが求められる。
信頼性高める方法
前述の商品実績データや店頭情報の盲点を補うには、次の3項目を実践する。
①活用目的を明確化:
必要なデータと情報は目的を持たないと集まらない特性がある。何に活用するためのデータや情報が必要なのかということを明確化することが大切。
②継続性が決め手:
データも情報も継続して収集することが大切。それによりはじめて、変化してきているものとそうでないものとが見えてくる。
③体系的に整理:
商品実績データや店頭情報を体系的に整理していくことで、情報は点から線へと結びつき、商品の流れや方向性をつかむことができる。
以上の方法で商品実績データと店頭情報とを集め、精度をアップし信頼性を高めていくことが大切である。
バイヤーに学ぶ
商品の目利きにかけて優れているといわれるバイヤーは、店頭の商品の動きとお客さまの動きとをよく把握しているということが共通点であり、商品実績データと店頭情報を常に連動して分析・検証しているということである。
前述した3項目を実践し、商品実績データと店頭情報とを常に連動して分析・検証することで、
バイインク活動にもっとも必要な信頼性の高い情報源となる。
それらの情報を素早く商品計画立案活動やバイイング活動、マーチャンダイジング活動、
店舗展開などに活用すべきである。
*この記事は、「織研新聞 2007年3月20日付 FBへの提案:店頭情報と商品実績データを連動して活用」に
一部加筆・修正を加えて掲載しております。