大 樹
カシワの巨木。
吹雪や嵐や雷にも、頑として譲らず、
誇り高く枝を広げる、
不動の古老の、雪原のカシワ。
その枯れ葉は、乾燥しきっても尚、
その幹を離れず、
そのおおいなる懐は、
リスや、モモンガや、キツツキを育み、
そして無数の鳥が翼を憩う。
そして、今も、
雪原を飛び跳ね回る2つの命を見下ろし
見守っている。
「誰か、ささやいたよね。」
「うん、優しい声だったよね。」