037: スカート
でね、その男はガチャガチャ音を立ててベルトを外しだしたんだ。
怖かったかって?いや、怖いってか、口ん中が甘くてなんか飲みたかったね。そう。甘かったの。ついさっき食った鯛焼きが口ん中残ってて。あれだね、やっぱり甘い物食べる時はなんか飲みながらでないと。
…おかしい?ああ、おかしいね。確かに。うん、怖かったかも。怖かったからずっとくだらないこと考えてたのかも。だってほら手は後ろで縛られてるし。口はガムテープで塞がれてるし。正座で足は痺れてるし。なんか知んないけどさあ昔っからすぐに足痺れるんだよね。普通に車の座席とか座っててもさ、降りた途端にずうん!と来たりして。あれ怖いよ。車はもう行っちゃったし早く行かなきゃ遅刻するし。うん?うん、高校ん時。親に送ってもらったの。もうさ、校門は見えてるのに動けないんだよ…ああ、話戻すね。手ぇ縛られてガムテープで正座してて口ん中甘くて、頭ん中でずっとお茶のこと考えてた。お茶、お茶、あっついお茶、って。で、そして、男はズボンを脱いで足下に落としたわけ。

もう、すごかったよ。ああ、あれ、驚愕。もう呆然とした。唖然とした。
だってさ、何でジーパンの中にスカート穿けるの?ピンクの三段フリルだよ?膝丈で、こう、ふわあっと広がってるの。可愛かったよ。地がくすんだピンクでね、そこに濃いピンク、赤紫系の大きな水玉が散ってんの。うん。結構良かった。
だけどおかしいですよ。普通無理でしょ。別にスリムじゃなかったけどさ。普通のストレートのジーパン。あ、ジーンズって言った方がいい?まあいいや。最初見たときそのジーパン全然膨らんだりしてなかったし、むしろ細くて長い脚だと思ってたからびっくりした。うん?中にスカートはいたら腰のところにたまるのかな?いや、腰も細かったよ。羨ましかったもん。どこもかしこも細くて。

そう、脚。脚が白いんだよ。細いし。その脚からズボン抜くんだけどさ、片足ずつ。
あのね、なんかね、エロかった。
毛ぇ剃ってたねあれは。いや、抜いてたのかな。とにかくつるつる真っ白でなんか、綺麗で。だから、ね、エロいんだってば。エロ、ああっと、色っぽい?顔?はね、まずかった。いまいち。もともと髪長い男ってあんま好きじゃないんだよねえ。
でもね、こう、下向いてね片足ずつ靴下を脱ぐの。髪が下がって顔隠して。ゆっくり。それから、あれ、なんて言うの?ふくらはぎぐらいまでのストッキングの短いみたいなやつ。そう、ほら薄い…うん、それをはいた。網目の入ったやつ。するするって、ちゃんと伝線させないように丁寧にこんな感じに持って。それからねヒールのたっかい靴を履いたんだ。うん、女物。足首のところにストラップがあってね、ぱちんぱちんって止めて。

ん?その時?その時にはもう流石にお茶のことは考えてなかったよ。
あの、なんかね、なんて言うか、やっぱりエロいと思った。顔は別にして。綺麗な脚だなーと思ってね。ちょっと細すぎる気もしたけど。や、だって、ぷりぷりした太ももっていいと思わない?あんまり細いのもねえどうかと思うわけよ。こう、適度な肉付きがいいよね。デブは嫌いだけど。そう、それでねその頃にはさあ、そんなにエロいんだから自分のことでも縛っとけよって思ってた。そりゃま、無理だろうけど。

それでね靴まできっちり履いたら男は顔を上げて、こっち見て、にやりと笑って近付いてきたの。
それでねこう、両手でスカート持ち上げたんだ。

もうびっくりですよ。信じられない。だってさああ―