自然環境と登山者

登山者として、私たちにできる自然保護
十数年前知り合いから頼まれて、雷鳥の生息調査の手伝いをしました。その時は立山、北アルプス、雨飾山などへ行き5〜10人ほどで、雷鳥の生息

するハイマツ帯を藪こぎし、雷鳥を見つけ記録するというものでした。

それ以来雷鳥のみに留まらず、他の鳥類や高山植物にも関心を持つようになり、データを取り続けています。

雷鳥は近年の登山ブームと平行して、個体数が激減し始めました。

植物で目立つのは、白馬山系や駒ケ岳などで、人が踏み荒らしてコマクサが壊滅的な被害を受けています。

私も以前は高山植物や鳥などは鑑賞するだけで、特に保護をしなければという意識や関心は持っていませんでした。

しかし実際調査に携わり現状に目を向けてみると、これは山や自然を愛する人間としてできる事をしなければと感じます。

自然保護と言っても、じゃあ具体的に何ができるのか?というと、すぐには思いつかないし、難しい事かも知れません。

例えば、雷鳥が減っている原因は病原菌、肉食獣からの被害、酸性雨や温暖化による影響等が挙げられます。

解りやすい事例では、植物なら踏み荒らされて消滅していくことが一番です。そして鹿の食害も。

国や地方自治体では、登山道を特定して道以外にロープを張るなどして、立ち入り禁止にするなどの対策を取っていますが、そうしたルールや規則を

つくり、強制的に対策していくことには一抹の寂しさを感じます。

それ以前に、やはり人としてちょっと関心を持ち、自分なりに考える。意識するといった小さなことだけで、それをする人が増えれば全く違う結果になっ

ていくと思います。

そこで登山をされる方に是非、知っていただきたい、気にしていただきたい事を提案させていただきます。

登山をされた時にちょっと意識をしていただければ、必ず自然保護につながることです。

日頃気をつけて欲しいこと

1.酸性雨の原因になる、車の排気ガスを減らすためできるだけエンジンを切る。

2.伐採を減らすため、割り箸を使わないで、マイ箸を持参する。

3.買い物袋を常に持参して袋の消費を抑える。ザックに入れておけば何かと便利。

4.ペットボトルは、破裂するので登山には使わない。水筒の方がカッコ良いでしょ。

5.登山道を歩く時、植物を踏みつけたりトレッキングポールで木の根を傷つけないように配慮する。

6.食べ残しを捨てたり、自然分解しない物を捨てない。

鳥類や昆虫にできる気配り

1 細菌などの感染を防ぐために、食べ物のごみを捨てないで、必ず持ち帰る。

2 たばこの吸殻、キャンディーやガムの包み等自然に還元しない物を捨てない。もし見かけたら拾って持ち帰る。

3 雷鳥等は敏感なので人を見かけると隠れます。隠れないものは近くに雛がいるか巣がある場合が多いので、脅かさないように静かに行動し行き過ぎるのを待ってあげてください。

4 写真撮影などで追いかけたりハイマツ帯に踏み込まない。

絶滅危惧種 鳥類と昆虫
夏羽のオス雷鳥 冬羽のメス雷鳥 子雷鳥
イヌワシ クマタカ オオルリシジミ
植物にできる気配り

1.登山道に生えているものは、踏んだり傷つけたりしないように。木の根も。

2.特にコマクサは絶滅が心配されますので、見つけたらできれば石で囲うなど他の人が気が付く様にしてあげてください。

3.採取をするのはもちろん禁止ですが、人の飲み物やスープのような水分も捨てると影響がでますからできるだけ捨てない。

4.ストックの先に保護キャップをして、植物を守る。

絶滅危惧種 植物
コマクサ アツモリ草 ハクバヤリカツギ
下のリンクに絶滅危惧種の情報や、自然環境についての情報が出ていますので、ぜひ目を通してみてください。
日本自然保護協会 環境省自然研究所  国際自然保護連合 
このページの写真の一部は環境省のインターネット自然研究所から抜粋しました。 Studio Canna.All right reserved.