連泊縦走装備
 装備を選ぶ時のポイントや必需品
バックパック
テント泊縦走には切り詰めても50L。通常なら70L以上の大型ザックが必要です。重量も増えてきます。15キロを越えてくると100g単位で体への負担が

変わってきます。背面システムの出来やサイズ、バランスの良さも大きな影響があります。大型になるほどザックを選ぶ条件がシビアになります。

まずは本体の重量。かつては70Lクラスだと3キロ位が普通でしたが、最近は2キロを切るモデルが数多く出てきました。

背面長が合わないザックは荷重分散が出来ず疲労や痛みの原因になります。必ず自分の背面長を測りサイズの合った物を。

ウェストベルトは肩と腰で荷重を分散するための物。ウェストではなく腰骨に乗せて締め付けます。

縦走登山にはテント、テントポール、シュラフ、マットなど嵩の張るものが増えてきます。食料と水もかなりの重量になります。

それらを上手く収納し、取り出し易いのもザックを選ぶポイント。2気室モデルやフロントが前面オープンするモデルは使いやすい。

ポケットや開口部が増えると防水性も問題になります。完全防水モデルは数種類しかありません。

メーカーのデータには最適重量や最高加重が載っています。この重量を越えると体に負担がきます。

おすすめはグッズガイドのページをご覧下さい。

縦走には専用に設計された靴があります。海外ではバックパッキングモデルと言います。靴底が厚くクッション性が良く、加重を支える強度がある

日本人は甲が高く幅が広いというのは間違いです。足型は人によってかなり違います。靴を選ぶときは無理にかかとやつま先を詰めずに自然に立っ

た状態で前後に少しゆとりがあるのが目安です。サイズはフットベッドを取り出して足を乗せてみます。特に横幅は広すぎずジャストが理想です。

サイズ 足形も靴選びのポイントですが、ソールの硬さも重要なポイント。

現実に山で見かける多くの人は硬いアルパイン向けモデルを履いています。専門店などでも硬い登山靴を勧めます。

ハードなアルパイン向けモデル(一般にいう登山靴)は、日本の山岳事情ではベストな選択とは言えません。

特に最近の靴は、歩き易さや、適度にしなるソールシステム、軽くて防水浸透素材で水には濡れず足はドライに保たれます。

現在の登山用シューズなら、ハイキングシューズの快適さと登山靴の丈夫さ機能を兼ね備えた靴が選べます。

足首の太さも千差万別。足型だけでなく足首のサイズ、左右の幅が自分に合うかどうかを充分に試着して選びましょう。

おすすめはグッズガイドのページをご覧下さい。

レインウェア
レインウェアは先ず素材。ゴアテックスに代表される防水浸透素材は、汗を逃がし水や風は通さないので蒸れずに体は濡れにくい。ただ自分のかく汗

が体を濡らすので、呼吸性能が良くないと行動中に濡れてしまいます。現在売られているレインウェアは多くは普通のゴアテックスで、やはり濡れます

新世代のゴアテックスパックライト、eVent、ドライQという素材はかなり優秀です。最近話題のファイントラックのストレッチ性の高いレインウェアも、体

フィットし動きやすいのでかなり快適です。レインウェアに関しては高い物ほど高性能。 

レインパンツは靴を履いたまま着る事ができるよう、サイドジッパーが長い物か、フルオープンする物がお勧めです。

防水浸透素材は使っていると防水能力が落ちてきます。雨粒が玉にならず染み込むようになったら、普通に洗剤を使って洗濯します。

適度に乾いたら当て布を当ててアイロンで乾かすと防水性能が復活します。耐久撥水効果が高いものほど、防水能力が復活しやすいので買う時に良

く調べて下さい。レインウェアも他の衣類と一緒で洗濯は毎回した方が良いでしょう。防水処理は5回に1回くらいの割合で防水剤で処理します。

最近はいつでもスパッツを履いている方が多いのですが、スパッツは靴の中に石や雪が入り込むのを防ぎますが、きちんとしたレインパンツや撥水加

工をしたパンツなら必要ありません。

無雪期は荷物を減らすためアウターはレインウェアを兼用できます。おすすめはグッズガイドのページ4をご覧下さい。

ベースレイヤー アンダーウェア ミッドレイヤー ウィンドブレーカー パンツ サポートタイツ
肌に直接触れるベースレイヤーは汗を吸収し戻さない機能が重要。速乾性も必要です。下着が濡れていると体温が下がり気持ちも良くありません。肌がドライに保たれると疲労度も少なくなります。縦走では入浴もできず汗や臭いも気になりますので最低1枚着替えを。 縦走では保温性のあるミッドレイヤーは必需です。山では夏でも気温の低下がありますので、長袖のフリースや速乾シャツが必要です。トレーナーやセーターは湿気がこもり乾かないので不向き。 山では必ず風が吹きます。防風機能と呼吸機能があり撥水する物がおすすめ。 縦走用パンツは速乾性と耐久性、耐久撥水加工の物が良い。 サポートタイツも疲労低減には効果大。クールマック素材は体温を一定に保ってくれます。
テント スリーピングマット スリーピングバッグ テントシート
どんな使い方をするかを決めてテントを選びます。冬山をやらないなら軽量なメッシュモデルで2人用で2キロ以下。最初から4シーズン使うことを考えるなら、ダブルウォールのゴアテックスモデルがおすすめ。テントにはシングルウォールモデルとフライが付いたダブルウォールモデルがあります。注意しなければいけないポイントは内部の結露です。ダブルウォールだとフライは結露しても本体はほとんど濡れません。シングルウォールはゴアテックスモデルでも結露します。快適さを選ぶか、軽さを選ぶかです。テントは本体とフライ、ポール、ペグ(テントを固定する杭)ケースで構成されます。すべてを入れた重さが総重量で、通常の重量表記には本体とフライしか含まれません。テントのサイズは人数プラス1を選ぶと余裕があります。マットは空気を入れて膨らまして使うエアマットと、ウレタンマットがあります。テント場は必ず凹凸がありデコボコします。エアマットはいわゆる風船式で厚みもあり凹凸は気になりませんが、膨張ウレタンマットに比べて寒いので、保温材を使った物がおすすめです。 スリーピングバッグ(シュラフ)は、内部の保温材で種類が分かれます。ダウンと化繊綿があります。ダウンは保温性も高く体に隙間なく密着するので暖かいのですが、湿気に弱い。一昔前はシュラフカバーを使いましたが、現在は撥水素材の物があります。化繊綿モデルは湿気に強く保温性も高く価格も安いのですが、嵩が張り重い。アルプスの3シーズン登山なら500フィルパワー位のダウンシュラフがおすすめです。 テント内部に敷くテントマットは、あるとなしではかなり保温性が違います。DIYショップで売っている1安いアルミ蒸着シートで充分ですが、破れ易い。専用のシートは丈夫ですが、やや嵩が張り価格も高い。
ヘッドライト ランタン ストーブ クッカー
ヘッドライトはLEDになってから急速に性能がアップ。照度も100ルーメンを超える物がたくさんあります。ルーメンはすべての方向に放射される光の量ですから従来のワットと比較は難しいのですが、50ルーメンでもライトとしては充分な明るさがあります。LEDは個体差が大きく同じモデルでも明るさが異なる場合があります。登山では明るさも必要ですが、ワイドとスポットの切り替え、どの位連続して使えるかも重要です。一般的にバッテリー別の物の方が長持ちします。最近は写真右のぺツルNAOのように暗さをセンサーで感知して明るさや照射範囲を変える物も出てきました。 大きく別けてガスランタンとLEDランタンがあります。灯油やガソリンのランタンもあります。軽さや手軽さではLEDランタンがベストですが、火で照らす雰囲気は格別のものがありますね。焚き火などはずっと見ていても飽きない。LEDの場合はやや暗く電池消耗がネックです。 クッカーはお湯を沸かす、ラーメンを作る、コーヒーを落とす、ご飯を炊く万能道具。アルミ製の安価な物からチタン製の丈夫で軽い物まで多種。通称ストーブ(ガスバーナー)は固形燃料、やアルコール、液体燃料のモデルもありますが、ガスのモデルが主流です。機種や火力によって重さにかなり差が出ます。寒い時はガスストーブはうまく燃焼しませんので、寒冷用のガスが必要です。最近はヒートエクスチェンジャーという熱効率の高いクッカーがあります。これだと通常の半分くらいのガスと時間でお湯が沸きますので、かなり節約になります。
GPS ナビゲーション コンパス 多機能腕時計 登山地図 グローブ
最近は登山ルートが入ったモデルが発売されています。自分の歩いた軌跡が表示されるので、現在位置を知り道迷いしたら歩いたルートに引き返すのも容易。ガーミンというメーカーが代表的。登山用ナビのマゼランも日本語版が発売されました。 コンパス、地図は登山には絶対必要なもの。これらを持たないばかりに遭難して命を落とした人もたくさんいます。自分の現在位置を知る、向かう方向を知る、ルートや地形を知るのは、登山には欠かせない事です。カシオプロトレックに代表される多機能腕時計はとても便利な物。方位機能、高度計測、気圧計、気圧傾向などの機能があり、ソーラーバッテリー搭載で電池切れせず、衛星を捉えて正確な時間を表示します。日の出の日入り、月齢表示するモデルもあります。登山地図は昭文社の登山地図が代表。濡れても破れず主な登山道が記載されています。国土地理院の白地図も定番地図です。 手袋は、軍手からゴアテックスまで多種。防寒だけでなく怪我の防止にもなります。夏はメッシュ手袋がおすすめ。
その他の必需品
筆記具と耐水性のある紙 ナイフやポケットツール 耐水マッチやライター
便利な物や知っていると良い知識
芯を抜いたトイレットペーパー 適度な長さに巻いた布製ガムテープ(靴底のはがれやウェアの破れに) 細引き(強度のある細いロープ) コンビニ袋

(ゴミを持ち帰るのに便利)

方位磁石には実際の方位とのずれ(偏差と自差)がある。この差は地域によって違う。登山地図には書かれているのでその数値を修正して正確な方

位を知る事ができます。GPSナビゲーションがあれば迷っても大丈夫。軌跡表示を有効に設定しておきます。

ヘリに手を振ってはいけない。救助を求める時は頭の上でタオルなどを振り、ヘリが近づいてきたら体の横で上下に振る。

沢筋や河原にテントを張ってはいけない。増水鉄砲水の危険があります。

雪渓では休憩しない。雪渓の落石は音がしません。どうしても休む場合は中央や傾斜の強い場所は避ける。

雷に遭ったら高い木や岩には近づかない。 開けた低い場所で姿勢を低くし絶縁のためザックの上に乗る。(稜線は危険)