登山のガイド
はじめに

山は昔から神の領域で神聖な場所と言われています。山に登れば誰でも自分本来の姿に戻り、心が洗われリフレッシュされます。

娯楽や旅行の域を超えた行為ですから、それなりの心構え、真摯な姿勢も問われます。

充分な心構えがないと、事故につながったり、迷ったり、人に負担を強いるなど、自分自身の生き方が問われる事になります。

今は登山者が増え、その分トラブルも多くなっていますが、山に事故がつき物という訳ではありません。

山は聖域ですから、自然の流れがあります。人も自然の一部です。ですから人が自然に合わせなければなりません。

自分の都合を優先して山に登ると、流れに合わず試練を受ける事もあるでしょう。

どの山に登るか、どのルートで登るかを事前に良く調べて行き先を選び装備を整えるのが第一歩。

山で窮地に陥った時は、人の助けが不可欠です。人は誰でも人を思いやる心があります。その暖かさがあれば良い登山ができます。

登山装備やスキルについて

装備や道具は安全に大きな影響があります。登山では装備がないということは危険が増すとういうことです。

高山では気候、気温が町とは違います。下は夏でも山は夏ではありません。高度が上がれば上がるほど気温は下がります。

山では雨や霧も当たり前です。稜線では風が吹き、場所によっては突風が吹くのも日常的に起きます。

雨や霧で体が濡れている時に風が吹くと体温が下がります。現実に真夏の登山でも低体温症で亡くなる方もいます。

装備は軽くという事は重要です。長期縦走になれば100グラム単位で煮詰める必要があります。レインウェアなどは雨が降らなければ使う事はありま

せんが、いざという時の備えが登山には重要です。

ベテランで長年山に登り、自分は登山の経験が豊富と思っても、一般登山道しか歩いていない方はスキルが磨かれません。

道迷い、転倒、滑落、長時間の縦走で限界を超える、低体温症、体調不良や怪我、そういった経験があればそれはスキルに繋がります。

かといって自ら進んでそういった経験をする訳にはいきません。でも一つ一つ真剣に考え行動する事で徐々にスキルアップできます。

少しでも不調や不安を感じたら引き返す事も重要です。登山はやり直しが出来ますが、命はやり直しができません。撤退する勇気が大切。

単独登山 最近の登山事情
単独で登山する人が増えています。昔は単独登山は良い事ではないという通説がありました。もちろんパーティーで登る方がリスクは減りますが、

危険だから単独は良くないとは言えません。登山にはリスクはあります。ですから単独でもパーティーでもそれなりの対策をしなければなりません。

道迷いでもトラブルでも自分の力で対応できる事は自分で背負います。どうしても人に頼らなければならない場合は遭難ですから仕方ありませんが、

それでも自力で解決できるように頑張るのも登山の基本です。

テントを持って縦走する事などは、すべて自分でするのですから登山の基本的スタイルです。

私は基本的に山小屋には泊まりませんが、小屋に泊まりながら縦走するのも快適な山旅だと思います。

それぞれのスタイルで自由に登れるのが登山の魅力です。

今は基本的に山小屋のテント場が指定されていて、それ以外はテント泊していけないという山域も増えました。

例えば中央アルプスのほとんどの山小屋は事前の予約がないと宿泊できません。実際疲れ果てて山小屋にたどり着いて予約がないからと、宿泊を

られて暗くなった山を彷徨い人に出会って避難小屋を教えられた人を何人か知っています。私自信も宿泊を断られた事もあります。

天候やコンディションなどの事情でビバークせざるを得ない場合もありますので、テントを張ってはいけない、予約がないと泊めないというのは人命軽

視以外のなにものでもありません。

人が増えるとそれに伴いトラブルや迷惑行為も増えるのは当たり前です。だからと言って厳しいルールを作るというのも正しいとは言えません。

世の流れとは言え、あまり人の過ちを責めずに暖かい心で登山したいものですね。国や法律などもそうあって欲しいと祈ります。

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