登山グッズの手入れ
登山後の靴やステッキ、レインウェア等はきちんと手入れをしないと劣化や故障するものがあります。

特に登山靴は、もし登山の最中に靴底がはがれたり、紐が切れたりしたら大変です。意外と不具合が出やすいのはステッキです。

高価なゴアテックスのレインウェアも、日頃の手入れで性能に影響がありますので手入れ等を解説します。

登山靴の手入れ ステッキの手入れ レインウェア、防水ウェアの手入れ ザックの手入れ
登山靴の手入れ

登山靴はアッパーにコーデュラ(カーボンを含む)素材やナイロン素材を革で補強した物。ヌバックレザーや合成皮革との組み合わせ、

フルグレインレザー、プラスティックブーツ等があります。

内側(インナー)はゴアテックス等の防水浸透素材を使ったものが大半です。

中底(ミッドソール)にはポリウレタンやEVAという素材。底(ソール)にはビブラムなどのゴムが使われています。

こういう異なった素材の複合体ですから長持ちさせるにはある程度コツがあります。

登山靴は履いていれば素材が活性化し強度を保ちます。しまったままにしておくと劣化が進みます。

箱に入れたまましまったり、車の中などは靴にとっては良くない環境です。

登山の前に靴底やミッドソールに亀裂がないか、ソールに浮きがないかをチェックしておきましょう。

1.

先ず中敷を抜いて、泥が乾かないうちに拭き取って落ちる程度の汚れならば、布や柔らかいブラシできれいに拭き取りブラッシン

グします。

ひどい汚れの場合は専用洗剤か中性洗剤を薄めて、ブラシを使い洗います。あまり硬い毛のブラシは駄目です。

ただしあまり頻繁に水洗いすると表皮や縫い糸、ゴムラバーを痛める等劣化の原因になりますから、汚れがひどい場合のみ水洗い

してください。

2.

一晩風通しの良い日陰や室内で自然に乾かします。直射日光にあてると劣化したり、革に艶がなくなります。

乾いたら防水剤で処理してください。完全に乾かないうち使用する防水剤もありますので説明書を良く読んでください。

靴の中も汗が乾いて塩分が残りますので、中敷も内部も湿った布等で良く拭きます。

臭いや中の汚れがひどい場合は水を張り半日程度置き、水を抜いて充分水分を拭き取り室温で自然乾燥させます。

洗剤等は使わず水洗いのみにしましょう。

一部のポリウレタンのミッドソールは経年変化で加水分解します。接着剤を使った部分は5年以上経つと剥がれてくるものがあります。

登山中にソールが剥がれるのを避けるため、5年以上経った靴は登る前に確かめます。隙間が開いていたり、爪で押して弾性がなければ

履いていて突然剥がれる可能性があります。

通常ポリウレタンの張替えや取替えはできません。ゴム底は張替えができる物があるので、メーカーやお店に相談します。

メーカーで張替できない場合はこちら

その後はアッパーの素材により変わります。
ヌバック 合成皮革(シンセティックレザー) ベロア(起毛)レザー等とナイロン 布系 表革(フルグレインレザー)

専用の防水スプレーを使います。乾いたらもう一度処理をします。

ラバーとアッパーの隙間に液が沁み込んで変色する靴があります。

ラバーはそれ自体防水能力がありますので液剤をかけないように。

ヌバック等の靴はワックスの必要はありません。ワックスは防水効果

はありますが靴によっては変色する場合があります。

ゴアテックスの場合は目詰まりを起こす事があるので必ず専用スプ

レー等を使います。

処理剤は革用と布との複合で液剤が違います。

ワックスを布や専用ブラシで塗りこみ1日以上寝かせ、もう一度処理

します。

仕上げの拭取りをします。(半乾きの状態でブラッシングし磨きこ

むと防水効果が増します)

保革効果のあるスプレーは乾いてから吹きかけブラッシング。

革の場合は磨きこみで持ちが随分違います。苦労を惜しまずがんば

りましょう。

オイルやグリスは革を硬化させますので使用しません。

おすすめの処理剤

NIKWAX(ニクワックス) 靴から衣類用まで揃っている。特にシューズ用はスプレーではなくスティックタイプで環境にも配慮している。

SCARPA(スカルパ) HS12 表革専用保革ワックス。

モンベル 撥水スプレー 衣類テント等用とシューズ用 ホームページ

Collonil(コロニル) ドイツの皮革製品ケア用品のブランド。あらゆる革製品のケア用品がある。

メーカーのメンテナンスガイド

トレッキングポール ステッキの手入れ
トレッキングポールは長さ調節が出来るタイプが主流です。スライドするポールは中が濡れたり細かい砂や埃が入るとロックが

効かなくなります。

シャフトを抜き、布できれいに水分を拭きとり、ポールの中の水分も乾かすため抜いたまま室温で1日乾かします。

良く乾燥したら元通りに組み立てますが、保管する場合は全部バラしておきます。

石突き(先端部)は、シャフトより先に破損する設計の物(レキ等)もあり、磨耗したりひびが入っている場合は交換します。

シャフトロックが緩んで固定できない場合はシャフトを抜いてロック用のプラスチックの中央に付いているねじを調節します。

先端に付いているゴムの保護カバーは植物の保護、木の根、木道などを傷めないために使います。

登山道以外(お花畑等)ではストックは使わないでください。

レインウェア、防水ウェアの手入れ
ゴアテックス等の浸透防水素材のウェア類は手入れをしないと防水能力や浸透能力が低下します。製品の注意書きにも書いてありますが、

能力は永遠には続きません。

雨に当たった時水滴が玉にならず、生地に水分が染み込んでいたら、そこは防水能力がなくなっています。

通常出来る手入れは、たたんだり圧縮したまま置いておかず、使用後はハンガー等にかけ室温で自然乾燥させて保管します。

普通に洗濯機で洗えば防水性は復活しますが、生地を長持ちさせたい人は手洗いをおすすめします。

雨の中で使用したら毎回洗濯します。5回に一回はニクワックステックウォッシュなどの専用洗剤で洗い、10回程度を目安にニクワックス

のダイレクトウォッシュイン等の防水剤で処理します。洗濯機で洗う場合は通常の2倍ほどすすぎます。

脱水はしないで軽く絞り日陰干しをして、良く乾いたらアイロンにあて布をして150度前後で熱処理をします。

熱処理をすると撥水剤が定着して効果が復活しますので、洗濯後アイロンがけを必ずしましょう。

ゴアテックス専用防水スプレーもある程度効果が持続しますが、漬け置きタイプの方が効果は大きく長持ちします。

防水スプレー後にもアイロンがけして効果を定着させます。

防水スプレーは普通の生地のズボンやジャケットにスプレーしてもほとんど効果は期待できません。

メーカーのメンテナンスガイド(モンベル) ショップのメンテナンスガイド

ザックの手入れ
最近のザックは防水効果があるリップストップナイロン素材の物が主流。しかし完全防水と表示のあるザックは数は少ない。

水分は縫い目から浸み込みますので、雨になったらレインカバーは必須です。

下山したら中身を出して、汚れは濡れた雑巾などでふきとります。汚れがひどい場合は中性洗剤を薄めた水でふき取ります。その後室内で

つるして乾燥させます。洗濯後衣類用防水スプレーをかけても効果があります。

中はたいていコーティングしてありますが、カビや臭いを防ぐために時々中性洗剤をうすめた水でふき取ります。臭いが染み付いた場合は

水洗いすれば大抵落とせます。水洗いしても縮んだりはしませんが、頻繁にやると縫い糸が痛んだりする可能性があります。

市販のシール材を縫い目に塗っておくと、防水効果は上がります。

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