ガンによる死亡者は年々増加し、現在死亡率が最も高い病気である。
発見が遅れると、手術しても他臓器に転移していることが多く、
再発が多い。
近年長年の夢であった分子標的薬が出始めている。
副作用が少ないが、対応するガンの種類がかなり限定的であり、
個人差が大きく、かつ極端に高価なため、
まだ誰でも利用可能なわけではない。
また、ガンが完全に消失しない限り、
一生この高価な薬を飲み続けなければならない。
例として乳がんのハーセプチンという分子標的薬は
ガン細胞のHER2というたんぱく質を標的にするが、
このHER2があるか無いかを検査してから
治療する。HER2がなければ他の方法を探さなければならないのである。
(高額療養制度 患者の負担減のため、各月の自己負担額の上限を超える分について、
健康保険組合などから払い戻される国の制度がある。73年に始まった。
自己負担の上限は保険加入者の年齢や所得に応じて異なり、
70歳未満に高・低所得者を除く一般の人の場合、
自己負担の上限は月8万円超。高額療養費を過去1年間に3回以上支給されると、
4回目から負担は月4万4400円で済む。)
免疫療法
長年研究が進められてきた免疫治療も
年々進歩してはいるものの、
現在、うまくいっていて治癒率の数値が公開されている一部の先端的病院でも
腫瘍が減少、根治を含めて
およそ患者の10−30%程度であり、
大半は抗がん剤、放射線、などを併用している。
標準コースは5−6回の免疫細胞の点滴で
150万円から250万円、
1年間治療すると
費用は1000万円程度以上かかることもある。
ガン治療によく使われるのはガン細胞を殺すリンパ球の
NK細胞とCTL(キラーT細胞)である。
NK細胞活性化療法
NK細胞を少量取り出し、数量の増加とNK細胞の活性化を施し、
患者に戻す方法である。
NK細胞はガン化している細胞を、
目印(抗原)がなくても、正常でない細胞として発見でき、これを攻撃する。
いくつかの技術グループがあるが、
テラのグループは、NK細胞を高い技術で強く活性化し(ANK療法)、
ANK療法だけで著しい効果の見られた患者数は50%を越える(11例/17例)
という治療効果を得ているとしている。
ちなみにテラグループの東洞院クリニックでは基本治療(6週間)が400万円という。
しかし基本治療期間後も
ガンが残る限り活性化したNK細胞を何度も注入する必要があり、
治療が継続されつづけて、医療費がかなり高額になってしまうことがある。
手術などでおおむねガンの病巣を取り除いて、強い免疫抑制の状態を無くせば、
これほど強い免疫活性でない免疫細胞療法でも効果はあがる。
CTL(キラーT細胞を活性化したもの)活性化療法
CTLはリンパ球の一種である。
CTLはガン細胞の表面にできた抗原を見つけて、
正常細胞でないと識別し、これを攻撃する。
しかしガン細胞は正常細胞と見分けがつきにくく、
ガン細胞の表面に抗原を見出しにくいこともあり、
抗原が十分認識できない場合は、治療効果も期待できない。
患者から採取したガン細胞をCTLの教育に利用して、
CTLでガンを治療する方法が試みられている。
この場合は手術前に申し出ていないと、取り出されたガン組織は
破棄されて病院によってはCTL療法ができないということもありえる。
この場合は効果が低下するが、人工抗原を代わりに使用することはできる。
また最近、CTL療法は、
放射線療法によりガン細胞を異常な細胞と認識し、効果があがることが
わかってきた。
同様に、抗がん剤を少量使用すると、
相乗効果があることがわかってきた。
また原発ガン(始めのガン、ガンの実家のようなもの)でCTLを活性化してやれば、
転移した小さなガンや、手術で取れなかった小さなガンでも
CTLは殺すことができる。
樹状細胞ワクチン療法
CTLを取り出して患者の外部で活性化させるのでなく、
樹状細胞を強化して患者のCTLを活性化する方法である。
樹状細胞は,破壊された細菌の断片たんぱく質を貪食して
内部で細分化し、できたペプチドを抗原として提示し、
ヘルパーT細胞を介してCTLを活性化する。
患者から採取したガン細胞を利用して、
樹状細胞を活性化する方法が試みられている。
この治療方法は分子標的薬と違い、ワクチン注射の回数が少なくてすむ
のが期待されるが、
樹状細胞を使うワクチン療法が 2004年厚生労働省の高度先進医療に認められた。
いくつかの病院で樹状細胞療法が受けられる。
診察、検査のみ保険の対象になる。
最近になって、樹状細胞はガンを攻撃するのは難しい点があることがわかってきたが、
2010年1月、大学での試験では患者3人に1人の割合でガンが抑制されたという。
ペプチドワクチン療法
ガン抗原となりうるペプチドを患者に注射して
CTLに抗原を覚えこませる方法である。
この治療方法も分子標的薬と違い、ワクチン注射の回数が少なくてすむ
のが期待される。
2010年5月久留米大、新規ペプチドで、ガンの抑制効果を確認した。
2010年5月18日 厚労省. 厚生労働省の先進医療専門家会議は18日、
新たながん治療法として注目されているペプチドワクチン療法について、
前立腺がんに限って先進医療として承認することを決めた。
診察、検査のみ保険の対象になる。
追記1 症例は膵ガンなどに限られるが。
大阪大が中心になって開発してきたWT1ペプチドワクチン療法。
ガン細胞に特に多く見られるWT1たんぱく質から作られた
WT1ペプチドを利用する。
現段階では免疫刺激材(アジュバント)が強力でないので、
効果がまだ十分でないとしているが、他大学も研究に加わってきている。
しかしすでに導入したセレンクリニックでは
WT1ペプチドワクチンを低用量の抗がん剤などと併用して
標準治療無効の患者に用いたところ、膵がん、肺がん、食道がん、乳がん等を中心に
非常に期待が持てる治療成績が出てきているとしている。
特に、膵がんの症例に対して、
化学療法およびTS-1とWT1を中心とした、
膵がん関連がん抗原由来ペプチドを使用した樹状細胞ワクチンとの併用の
臨床効果について、
標準治療が効果がない手術切除不能の膵がん患者27名を対象とした結果、
確認できた18症例のうち49%で著しい効果が得られたという。
2011年5月日経産業新聞によると、久留米大医学部の野口教授による
ペプチドワクチン療法は、保険が適用できて、費用が100万円ほどかかるという。
そして今までの実績から、抗がん剤より延命効果が高いという。
前立腺ガン、肺がん、すい臓ガンなどの患者が多いそうだ。
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