| 書道の上達への道 尾臺成大 記 |
| 1.はじめに |
| 書道は、初歩の段階では、兎にも角にもお手本に忠実に文字の形、大きさ、線の太さ、線の長さや角度など、すべてを真似ることです。そして、お手本を見なくても書けるぐらいに練習することです。「学ぶ」とは、「真似る」ことに始まります。同じ文字でも、書体や書風によって書き方が違います。その違いを見つけて練習していくと「真似る力」と「書く技術」が自然に身に付いてきます。半紙に書いた枚数に比例してどんどん上手くなっていきます。上級者になると、単なる表面上の線美だけではなく、内面的な線美や味わいの追求をしていきます。心情の表現でありますそれをどのように表現するか、高有段者になればなるほど要求されます。 三段以上になれば、基礎技術【真似る力】は出来ているはずであります。次へのステップは、この内面美という超高度な課題を追求し続けなければなりません。その頃には、「作品作り」の苦しみと楽しみが解るようになっているのです。 |
| 2.有段者に要求される課題 |
| 余白を含む作品の全体構図文字ごとの構図(結体)用筆 (順筆、逆筆、開閉、伏仰、露鋒、蔵鋒、方筆、円筆、)用具(剛毛筆、柔毛筆、長鋒筆、短鋒筆)(紙質)運筆(遅速、緩急、抑揚、潤渇、濃淡、疎密、) |
| 3.表現方法 |
| 用筆、運筆に加えて、筆力、筆勢、筆脈、気迫などで変化します。したがって、気持ちが萎縮すると作品まで萎縮してしまうので常に、平常心でおおらかな精神状態に保てるように心がけます。 |
| (心を打つ作品の表現)冷静沈着、気宇壮大、軽妙爽快、気脈一貫、温雅、大胆、変化自在、楽趣情趣、真面目、素直、躍動感、質朴、格調品致、墨色生彩、余白の美、規模豪放、骨力剛健、流暢華麗、枯淡、軽快清澄、規模雄大、古筆臨書、 |
| 4.臨書の心得 |
| 初歩的には、表面上の構図、書体、線形を正確に学び取ることです。 |
| (形臨)臨書課題には必ず、上記の高度な表現方法が隠されていることを学び取りその修練が自分の作品制作の基礎となるように、また、(意臨)その作者の心情が汲み取れるまで臨書を書き続けます。最後は、(背臨)なのですが、暗書と言ってお手本を見ずに、今まで習いこんだことに自分の書意を入れ込んで書きます。ここまで到達すれば立派なものです。 |
| 5.自運の心得 |
| 上記の項目を念頭に置き、磨墨しながら、気持ちを静めて構想を練ります。(意前筆後)構想が決まれば、構図を下書きしながら、さらに構想します。この間、作品によっては何日間も時間を掛ける場合があっても、仕方ありません。この構想時間が最も大切なのでおろそかに出来ません。構想の内容は上記の項目で無限にあるので時間がかかるのも当然のことであります。これが大切な「意前」の部分であります。構想が定まれば、一息に書いてしまう。この時、気持ちは高ぶっているがそのまま書く場合と、極力抑えて書く場合があります。抑えぎみの方が無駄な力が抜けて良い作品になることが多いかも知れません。「真剣一本勝負」の神経集中の訓練になります。慣れてくると、この一枚勝負の緊張感がたまらなく快感となります。これが本番である「筆後」の部分なのです。 |
| 5.おわりに |
| 以上のようなことを常に念頭におきながら、運筆技術の向上に日々励んでいきます。書道の上達は、一朝一夕にできるものではありません。しかし、日々の正しい練習を続ける事で、必ず上達します。多くの方が挫折してしまうのは、続けることの難しさを克服できないことにあります。続ける秘訣は、自分流に「楽しむこと」を見つけ出すことなのです。 |
