Dear Bella
ベラへ
どうしてる? 元気でやってる?
僕は…おかしな話だけれど元気。
大学に通って新しい友人もできた。女の子とも時々デートをしてるよ。
パーティーにも顔を出す。
両親は相変わらず優しいし。
事の顛末はあいつらから聞いているだろう?
悪かったと思ってる、どう説明していいかわからなかったんだ。だから君にはいまだに会いに行けない(だから郵便局の襲撃も
勿論あれ以来やってないよ !!)
僕の記録は成人になったら消されることになるだろうって父が言ってた。
だから。
順調なんだ。
でも君が聞きたい話はこんなことじゃないだろ?
彼女はたまにうちに来るよ、私服で。
彼女の組んでる相棒はかわったみたいだけど、彼女はかわらない。
ウォルターの部屋はあのままになってる。
2人でウォルターの話をするんだ。
ウォルターのベッドに座ってね。
僕は彼女の『憧れのウォルター』の話が好きだし。
彼女は僕の『ウォルターと再会した』話が好きだ。
そうやって冷静でいられるのってどう思う?
夢はもう見ないんだあの夢は。
君に夜中に何度も電話をしたけど、
夢はもう見ないけど、
電話は時々したくなる。
ウォルターの痕跡は残っていても、ウォルターが10年経ったら又ドアの前に立ってる、なんてことはもう有り得ないことだし。
あのときのプレゼント、どうしたんだろう。沢山の箱を抱えていたっけ。
僕はダメなんだ。
幸せだけどダメなんだ。
僕は8歳の子供に戻るところからやりなおして、5年間ウォルターについて考え、5年間ウォルターを忘れたフリをして、18からは年をとらない。
ずっと繰り返す。
僕はあの兄を、思いきり憎むよ。
もう行かなくちゃ。
出先でこの手紙を投函します。
誰にも襲撃されないといいけど。
君の友・ジョシュ
PS.メキシコの本、どうもありがとう
でも、まだページを開けないんだ。感想はもう少し待っていて。
Dear Bella
by 野田達夫
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