東京都が”ゲーム脳”を研究していることが判明


 今年の3月に、東京都がテレビゲームが子どもに与える影響を、脳波を測って研究することを決定したことがわかった。これは都内の首都大学東京(旧・東京都立大学)に委託するかたちですすめられ、現在研究中であるものと思われる。

 ゲームが子どもに与える悪影響、いわゆる”ゲーム脳”が大きく取り沙汰されたのは、2002年に出版された『ゲーム脳の恐怖』が世間に文字通り、恐怖と衝撃を与えて以降であろう。この本の著者である森昭雄・日本大学文理学部教授は、子どもがゲームをすると脳波が痴呆患者と同じようになる、と警告する。  ところがこの説には、全く根拠がないことがほぼ確定的であり、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』でおなじみの川嶋龍太・東北大学教授や、精神科医で帝塚山学院大学教授の香山リカ氏をはじめ、多くの知識人からも、その無根拠性を指摘されている。いわゆる”トンデモ本”だったわけである。

 しかし、こういった多くの指摘にもかかわらず、森教授は「テトリスは殺人ソフト」などと、取調べを受ける薬物中毒の犯罪者よろしく、意味の分からないこともう何年も言い続け、最近でも講演会で「ゲームをすると”自閉症”になる」と妄言を吐いて、その無責任さが日本自閉症協会の怒りを買っている。

 もはやここまでくると、森教授は世間の流れに徹底抗戦する「ドン・キホーテ」気取りでいるのではあるまいか。だとすれば実に安っぽい、いや、激安なドン・キホーテであるが、しかしこちらの方は洒落にもならないわけで、自分の売名行為のために他者を陥れるような、極めて悪どい商法といわざるをえない。そこには、論理を追求して真理に近づくという大学教授の姿は、ひとかけらも見当たらないだろう。もちろんそんな人間を東京都が信用するはずもなく、したがって独自に「ゲーム脳研究」をするということになったのである。

 東京都の研究に対し、自分の希望を述べるとするならば、ただゲームをするときだけに脳波を測るのではなく、「ケータイ画面を見ているとき」、「PC画面を見て仕事をしているとき」、「テレビを見ているとき」など、多くの”対比事項”を作ってから行ってほしいということである。それも、ただボーっとケータイ画面を眺めているのか、あるいはメールの返信のために文章を考えながら画面を見ているのか、また、いつもの決まりきった入力をするためにPC画面を見ているのか、あるいは乱高下する阪神株をデイトレードしつつ画面を見ているのか、といった”条件面”も設定した上でやってほしいものである(無論、ゲームも同様である)。その上で自分も、結果を静観したいと思う。

 また、この問題は近い将来に再燃することがほぼ確実なので、当HPにおいても、「週刊中野龍三『ゲーム脳の恐怖』講読会」と題して、複数回にわたってその無根拠性を解き明かしていく予定である。