ジブリで英語

『好きこそものの上手なれ』という諺があります。一時的な向学心に駆られて勉強を始めても、楽しくないとすぐに熱が冷めてしまって長続きしません。
私の英語の勉強もそうで、持ち前の飽きっぽさでなかなか勉強が持続したことがありませんでした。
そこで効果的な勉強法として思いついたのが、ジブリなどのアニメーションを英語音声(吹き替え版)で観るという方法でした。
アニメなら楽しんで取り組めるし、また、口語表現を学ぶことが出来ます。またジブリ作品の多くは(海外では)基本的に子供向けであり
、比較的平易な英語を綺麗な発音で話してくれるので聞き取りの練習に適しています。ネットで調べて分かりましたが、海外版のジブリ作品DVDでは台詞をほぼ正確に字幕として表示出来るので、正しく聞き取れたかどうかを確かめられます(日本版DVDでも英語音声と英語字幕を選べますが、多くの作品で音声と字幕とが一致しません)。

そこでディズニーなどから出ている英語版のジブリDVDを手に入れ、主にディクテーション(聞いて書き取る)の練習をしました。
最初は英語の勉強が主目的でした。しかし英語で観ていると、日本語で観た時とは違う発見があって面白いことに気がつきました。

以下、英語で観た作品の感想などを記します。

 

魔女の宅急便(Kiki's delivery service)

英語版の台詞はオリジナル(日本語)の台詞に近いですが、所々話の筋を変えない程度にアレンジが加えられています。また、台詞や効果音の数が増えています。より豪華になっているとも言えますが、全体的に説明的になりすぎていて、沈黙や静寂に味わいや奥深さを見出す日本人にはオリジナルの方が合っているのではないかと思います。この辺りに感性の違いが見て取れる気がします。

英語版では、黒猫のジジの声は男性が担当しています。初めは低い声に違和感がありましたが、英語の台詞を理解するにつれて皮肉屋な性格に声がマッチしていると感じるようになりました。オリジナルと比べると、体だけでなく性格までブラックで面白いです。
例えば、修行先のコリコの町に着いたキキが第一印象を良くするために笑顔を作って往来の上を飛んでいたところ、交通事故を起こしそうになってパニックを引き起こすシーンがありますが、そのパニックから抜け出した時オリジナルではジジは無言ですが、
英語版では次の台詞が加えられています。
"Smooth, very smooth. You definitely know how to make a good first impression."
(すごいや。どうすれば第一印象が良くなるのか、ホントよく解ってるね。)

オリジナルではユーミンの『ルージュの伝言』『やさしさに包まれたなら』がそれぞれオープニング・エンディングに使われていますが、英語版ではSydney Forestさんの"Soaring", "I'm gonna fly"という曲が使われています。両方とも、映画の内容や雰囲気に良く合っています。

声優さん達は皆上手ですし、台詞もアニメの動きを考慮して上手く作られており、全体的によい作品に仕上がっていると思います。

 

耳をすませば(Whisper of the Heart)

「シズーク、ツキーシムァ(月島 雫)」と、“ガイジン”風に訛った呼び方に先ず違和感を覚えます。
でもそんなのも初めだけで、すぐに物語にのめり込みます。

学校の近くの神社で、杉村が雫に思わず告白するシーンがあります。
「だって俺・・・、俺お前が好きなんだ!」
英語だと、"But, it's that...you are the one I'm in love with !"
「好き」という表現はいかにも中学生の告白にふさわしいですが、英語で"Love"という表現をされると何だかどぎつく感じます。おまえ本当に中学生かよ、ってな感じです。でも例えば"Like"だと(異性として)好きだということが伝わらないんでしょうか?このあたりの感覚は勉強不足で良くわかりません。

物語の最後の聖司が雫にプロポーズするシーンでは台詞がアレンジされています。機転が効いていてなかなか良いと思います。

聖司: "I know this might sound really weird to you, but could you see us getting married someday?"
          "I promise I'll be a professional violin maker, and you can be a professional writer."
    (こんなこと言って変かもしれないけど・・・、いつか俺たち、結婚出来ないかな?
     俺、プロのバイオリン職人になるって約束するよ。そして君はプロの作家になるんだ。

雫: "Mm-hmm."
    (・・・うん。)
聖司: "Does this sound corny?"
    (ダサいプロポーズって思った? ※聖司が雫の『コンクリートロード』を"corny"と評したことが複線になっています)
雫: "It's a little corny, but you are a violin maker, not a writer."
    (ちょっとね。でも聖司は作家じゃなくてバイオリン職人だからいいの。)

声優さん達の声はいずれも登場人物のイメージと合っていて、良い配役だと思います。しばらく見ていると、日本人が英語を話していることに違和感を感じなくなります。英語で見ても、日本語で見ても同じように感動出来る作品です。

 

となりのトトロ(My neighbor Totoro)

この作品は、ジブリ作品では珍しく日本版DVDの英語音声と英語字幕とがほぼ一致しています。
挿入歌の『さんぽ』、『となりのトトロ』もちゃんと英語で歌われています。日本語の歌詞の意味をそのままに
うまくメロディーに合わせてあり、とても上手な翻訳だと思います。おまけに歌声もそっくりです。
他のジブリ作品よりも会話が短く単純なので、英語を勉強する上ではとっつきやすいと思います。

紅の豚(Porco Rosso)

日本版の英語音声と海外版とで、台詞がかなり異なります。あの名台詞「飛ばない豚はただの豚だ」は・・・
<日本版>A pig doesn't fly is nothing but a roasted pork.(飛ばない豚はただのローストポークだ。)
<海外版>Sorry, baby. Gotta fly.(悪いな。飛ばなきゃならねえんだ。)

 

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