いじめ問診表の作成

向山氏は次のように言う。
六 教師が見て判断し、アンケートなども実施した。が、、これでも不十分である。.それは「自覚できない症状」もあるし、本人が「かくす」こともあるからである。「いじめ」の時は、報復を恐れて「かくす」ことが普通である。教師は、そのつもりで調査をする必要がある。
七 医師が健康診断でやる「レントゲン」「血液検査」「血圧検査」のようなものが必要になる。本人が「かくし」ても、現れてくる方法である。
八 どうすればいいのか、残念ながらこれも研究されていない。整理されてきちんとした形で提出されていない。が、「いじめ」の実践は、これまでにもあった。経験は蓄積されている。その中から、重要なことを取り出し整理すればいいのである。
本人がいじめられていることを隠したり、そのことを自覚できない場合、どうしたらいいのだろうか。
自覚できない場合は、具体的な行為を問うことで、発見できるだろう。例えば『わけもなく殴られたりしますか」というようにである。このレベルのアンケートはすでに向山氏が発表している。
しかし、本人が「かくす」場合はどうなるか。
「かくす」のであるから、いじめられていないように答えるのだろう。
心の中を写すレントゲンがあればいいのだけれど、そんなものはない。

私は、やはりアンケートという方法が一番いいと思う。ただいじめに限ってはだめだ。いじめられていることを隠すことだってあるからである。
私は、キーワードは「自尊心」「自尊感情」だと思う。いじめは脳の根幹を攻撃する。脳幹は「自尊心」をつかさどる場所だ。この自尊心こそ人間が生活していくうえで不可欠なものだ。いじめはこの自尊心を傷つける。自尊心を傷つけられた子どもはだんだん生きる力を弱めていく。
おそらくいじめを受けている子どもは、この自尊心がずたずたになっていると思う。

私は、10年以上前から、学期末にアンケートをとっている。確か築地学級の子どもたちに落合恵子さんがとったアンケートの中からいくつか抜き出したと記憶している。その中に次のようなアンケート項目がある。

「私は、先生から好かれていると思います」
「私は、先生から認められていると思います」
「私は、友達から好かれていると思います」
「私は、友達から認められていると思います」
これに対して、1 ぜんぜんあてはまらない 2 あまりあてはまらない 3 だいたいあてはまる 4 よくあてはまる の4段階で答えるのである。
このアンケートで 「1」と答える子どもがいる。教師にとっては「えっ!?」といいたくなるような子どもがである。特に友達関係で「1」の場合は要注意だ。何かある。