用語 45・雀頭


みよ 投稿日:2010/11/10(Wed)

こんばんは。先日は「ドラ」について教えていただきましたが、今回また一つお願いします。
「雀頭」というのは、なぜ「雀頭」と言うのでしょう?
他にも「頭」とか「枕」とか呼びますが、その呼称の由来を教えてください。
くだらない質問ばかりですみません。なんか気になってしまうので…。
どうぞよろしくお願いします。

あさみ 投稿日:2010/11/10(Wed)
 こんにちわ、みよさん。
 麻雀に関することなら、どんな質問でもノープロブレムです(^-^)/ もっともσ(-_-)にも分からないことは幾らでもありますが(^-^;
 
 単純に、「雀頭」の“雀”は「麻雀」の略、「」は順子や刻子とは別の2枚の組み合わせという意味です。で「(あたま)」は さらに「雀頭」を略した表現、「」は「頭」から連想された日本的表現です。ただどうやら「雀頭」というのは日本人が考えた表現のようです。
 中国の解説書では「麻雀(あるいは“ 麻将 ”)、これを略して「将(チャン)」、あるいは「将牌(チャンパイ)」と表現されています(「麻将牌 中級通用教程(王成槐 編、人民体育出版社)」など)。しかしゲームと手牌の組み合わせの名前が同じでは、日本人にはわかりにくい。そこで日本では「麻雀」に「頭」という表現を加えて「麻雀頭」、これを略して雀頭と表現したのかも知れません。
 実際 昭和初期、日本で麻雀が大流行したとき、ベストセラーとなった麻雀入門書(「麻雀競技法とその秘訣(林 茂光(りんもこう)昭和5年11月 四六書院)」)には次のように書かれています。
麻雀(または雀頭):之(これ)は同一牌を2個揃えた組みで・・・」(p27)

「林茂光(本名 鈴木郭郎)」と云えば、日本麻雀草創期における大先達。いま日本で普通に使われている栄(ロン)というアガリ用語を造った人。ひょっとすると、「雀頭」も林先生の造語かも?。

オマケ
中国では 現在でも「麻将」とか「将」、あるいは「将牌」と表現しているようですが、「麻将頭」と、「頭」付きの表現をしている本もあります(「麻将没几招(金智勝 編 陝西旅遊出版社)」)。

みよ 投稿日:2010/11/11(Thu)

 あさみ先生、こんばんは。
 「雀頭」というのは、やはり日本的な表現だったのですね。いろいろな麻雀用語の中で、この「頭」や「枕」という言葉に、ずっと違和感を感じていました。個人的には、「将牌」と呼ぶ方がしっくりします…。

 それにしても、先日来 些細な質問に対して非常に詳細に実証的に説明をして下さいまして、本当にありがとうございました。お手数をおかけしたことと思います。特に今回は「栄(ロン)」という言葉の由来まで教えていただき、図らずも一石二鳥となりました。
 これもまた 普段から「多分 日本人が作った言葉だろうなあ」と推察しつつ、はっきりとした出処を知らなかったので、おもいがけず疑問が解けて、とてもうれしいです。

 丁寧な回答を、ありがとうございました。とてもよく解りました。またつまらない質問をするかもしれません。その時はまた、どうぞよろしくお願いいたします。

あさみ 投稿日:2010/11/13(Sat)

 雀頭についてのレスポンスで、
>ひょっとすると、「雀頭」というのも林先生の造語かも?。
と書きました。

 ちと気になったので さらに調べてみたところ、1920年代初期(大正10年頃)出版されたと思われる「麻雀門径(著者不詳)」という中国の本に、すでに「雀頭」という表現が使われていました。(^-^;

「以就単弔雀頭」、「故雀頭總宜少石並為是」など。

ということで、「“雀頭”という表現は林先生の造語かも」というコメントは撤回します。_(_ _)_

みよ 投稿日:2010/11/15(Mon)

 こんばんは。
 またまた実証的なコメントを、ありがとうございます。

 すると…、「雀頭」や「頭」というのは中国で既に使われていた用語であり、「枕」というのはそこから日本人が連想して使い出した用語だと。
そして「雀頭」とは、単純に「順子や刻子とは別の2枚の組み合わせという意味」だと。

 私は「頭」と言うのなら、どこかに「手足」や「体」に相当する麻雀用語もあるのだろうか?と疑問に思っていました。でも そんな身体的な意味の「頭」ではなく、あくまで「2枚の組み合わせ」つまり「面子とは別の、独立した2枚の組み合わせ」ということなんですよね。

 勝手に「頭」という言葉のイメージを拡大してしまったのが混乱の元だったように思います。言葉の概念規定がいよいよややこしくなりますね。私の「頭」を整理していただき、ありがとうございました。

 …そう言えば、最近はいよいよ拡大して(?)「ヘッド」と呼ぶ人も多いですね。この言葉も既に市民権を得ているのでしょうかね。さすがに「ピロー」は聞きませんケド。

あさみ 投稿日:2010/11/15(Mon)

こんにちわ、みよさん

>すると…、「雀頭」や「頭」というのは中国で既に使われていた用語であり、

 少し違います。というか、少し言葉足らずだったようです。
 中国でも「雀頭」という表現が使われていたのは確かなようですが、雀頭が単独で「頭」と表現された例は知りません。単に「頭(あたま)」と表現するのは、あくまで日本的用法と思います。もちろん「枕」とか「ヘッド」は、さらにそこから連想した日本表現です。そして書籍などの頻度からの推測ですが、中国では「雀頭」より、「麻将」とか「将牌」の方が一般的な表現だったと思います。

>でも そんな身体的な意味の「頭」ではなく、あくまで「2枚の組み合わせ」

 身体的な意味ではなく、先頭とか後尾というようなイメージ的表現ですね。そこで雀頭とか頭(あたま)と表現した場合は、たしかに「面子とは別の、独立した2枚の...」の意味となります。しかしイメージ的な表現ですから、他の漢字とくっついた場合、たとえば老頭牌と云った場合、は若い牌(1の牌)、大頭(タートオ=頭でっかち)と云った場合は1123という形を意味します。7899は大尾(ターウェイ=尻でか)と表現します。

>さすがに「ピロー」は聞きませんケド。

これから普及させましょう(^-^;

みよ 投稿日:2010/11/16(Tue)

あさみ先生、こんばんは。
「頭」=「先頭とか後尾というようなイメージ的表現」との説明は、とても解りやすくて納得しました。ありがとうございました。

あさみ 投稿日:2010/11/15(Mon)

疑問が解消されてなによりです。(^-^)/