用語07・立直の意味



 麻雀の用語は中国語が多いと思うのですが、「リーチ」というのも、やはり中国語なのでしょうか。

 以前、中国に留学していた友人に聞いたところ、中国語では「立直」という字の発音は「リイチイ」だけれど、その文字を表記しても中国ではまったく通じない、ということなのだそうです。

 いったいリーチはどこからこの音が生まれて、この漢字になっているのでしょうか?

 「日本語か中国語か」ということであれば、「元は中国語」というのが順当な回答になります。

 もともと中国麻雀には「ゲーム途中における聴牌宣言」というルールは存在しません。しかし中国のローカルルールに第1打牌による聴牌宣言というルールが存在しました。つまり日本でいうダブル立直です。

 この立直(ダブル立直)は中国の華北地方の役と云われます(日雀連機関紙「麻雀タイムズ創刊号『途中立直と複合七対子』古屋徳太郎」S23/4)。

 また「南方では立直(リーチー)と呼ばれ、北方では控聴(カオテン)と呼ばれた」といいます(「麻雀疑問解答」中村徳川三郎大13.6)。そしてこれは「有叫(ユーチャオ)」とか「叫了(チャオラー)」、あるいは「告聴(カオテン)」、「報聴(パオテン)」などとも呼ばれていたと言われます。

 いずれも正式名称というより、「テンパイしたぞぅ!」という程の意味と思われます。そして「立直」もこのような主旨の名称の一つとして存在したようです。

 ただ立直という熟語からは「真っ直ぐ立つ(直立)」というような意味は感じられても、「聴牌(テンパイ)」という意味は感じられませんそれがどうして第1打牌による聴牌宣言用語として用いられていたのか判然としません。

 そしてこの第1打牌による聴牌宣言ルールを応用したのか、1940年頃、満州在住の日本人が途中立直ルールを採用しだしました。このゲーム途中でのテンパイ宣言を、当時は「新體制っ!」とか「大東亜っ!」とか宣言していたといいます)。
新體制とは、大東亜共栄圏の意味。

 終戦後、このゲーム途中でのテンパイ宣言が立直という名称で瞬くまに日本全土に普及しました。また三色(サンシキ)一般高(イーペーコー)なども、この時期に普及しました。

 いずれにせよ中国では聴牌宣言自体がローカルルールだったわけですし、立直はそのローカルルールに数ある通称中の一つに過ぎなかったわけです。そこで大多数の中国人がそのような用語を知らないのも当然と思います。


いおさん    日付:2004/02/10(Tue)

「リーチ」についてですが、漢字で「立直」と書きますよね?
僕はずっと、これは英語のReachの当て字なんだと思ってました。

これが英語ではないというのがビックリで・・・幼いころから英語で教育されてきたのでそう思うのかもしれません。

確かビンゴとかでもあと一マスになると「リーチ」って言いますよね?
ここから「ああ、手を伸ばせばもうすぐ勝利が掴めるからリーチなのかぁ」とずっと思ってました。


あさみ    日付:2004/02/10(Tue)

こんにちわ、いおさん

 “リーチの語源は英語のreach”というのは、ずーっと昔、どこかのプロが思いつきで書いたヨタです。こういう人にかかると、日本語の「スルっと」、あるいは「すり抜ける」の語源は英語のThrough(スルー)だと云いかねません。

>ビンゴとかでもあと一マスになると「リーチ」って言いますよね?

たしかにいいます。
これは「あと1つでアガリ」という主旨で、麻雀のリーチから転用されたものです。