用語05・幢


 壁牌の、上下1対の牌ですが、「トン(文字不明)」とか「チュワン(幢)」とか聞くのですが、ホントのところ、なんと呼ぶのでしょうか?

>「トン(文字不明)」とか
 トンは[土敦(土扁に敦)]と思います。[土敦]は、「丘」とか「土盛り」という意で、トン(dun)と発音されます。中国の麻雀書では、この字が多く用いられています。

 「」はチュワン(Chuang)で、「飾り羽根のついた旗」という意味の字です(仏教のお寺に幟(のぼり)のような旗が立てられていることがあります。あれを幢幡(どうばん)といいます)。つまりには、丘とか土盛りの意味はまったくありません。

 しかし中国では発音が同じであれば、意味は関係ない字を使用するということが往々にしてあります。また日本と違って中国では1文字1発音が基本ですが、地方によって発音が異なります。たとえば「」は北京語では「チョー」ですが、広東語では「カオ」です。そういう意味では一つの字に幾つかの発音があるわけです。

 そしてこの「幢」には「tong(トン)」という発音もあります。そこで「どうせ同じような発音だから」というのでしょうか、昔の中国書の一部には、「土敦(dun)」の代わりに「幢(tong)」の字も用いられていました。そこで戦前の日本の入門書でも「土敦」と同時に「幢」も使用されました。そして日本では、使用頻度としては「幢」の方が大きかったようです。※すでに この当時「『幢』は間違い、『土敦』が正しい」という指摘がありました。

 第二次大戦後 麻雀ブームが再来し 多くの麻雀書が刊行されました。この頃になるとそんな事情は誰も知りません。そこで戦後の日本書では、ほとんど「幢」が使用されました。これはいちおう「tong」のつもりで使用されているので「トン」と振り仮名されていました。とはいえ本来の発音は「Chuang」です。そこでやがて幢(チュワン)」と振り仮名されることも多くなり、現在に至っています。

現在の日本でも「土敦」が使用されている本もあります。また「敦」という字が使用されている本もあります。「敦」の本来の字義は「投げる」「促す」ですが、
小山とか丘の意もあります。


 起源として適正な表現と 通りの良い表現が食い違うというのは、良くあることですね。字義としてはよく分かりましたが、私は「通りの良いほうを優先」して「幢」と表記してゆこうと思います。

 とはいえ起源を知っておくのと知らないままにするのとでは、気分がぜんぜん違います。ありがとうございました m(__)m


 「幢」は字義としては適切ではないですが、、本義を理解したうえで慣用に従うということですね。(^-^)
 手(はくしゅ=手を拍()つを手(はくしゅ)と誤記し、それをさらに訓読みして柏手(かしわで)と表現しているような例もあります。たしかに柏手は訓読みでかしわでですが、(かしわ)って、いったいなんだ。の葉のような大きな手でなければ、神前で手できないと云う意味なのか。(笑)