点数 06・順位点


 麻雀大会などではトップ賞はありませんが、その代わりよく16ポイント制が設けられています。

 この16ポイント制がどのような形で大会ルールとして考案されたか知りたいのですが。

 まず「どうして16Pとしたのか」ですが、これは一般麻雀のトップ賞点を順位点に置き換えただけのものです。すなわちおとなしい一般麻雀では持ち点27000点で30000点返しですから、トップ賞は12000点、インフレ度が強いと25000点の30000返し。で中間的なものが26000点の30000返しでトップ賞が16000点となっています。

 そして麻雀大会などでは30000点持ちの30000返しで、トップ賞がありません。そこで単純に一般麻雀の中間的なトップ賞の点数16000点を順位点として採用したわけです。そしてこれはトップ賞ではなく順位点なので、トップ者だけに加算するのではなく、順位やプラスマイナスによって適当に(数学的根拠はありません)バラまいたわけです。

 一言で云えば、16P加減方式は、トップ賞の変形として採用されたものです。したがってこの16P加減方式(に限らず、順位点方式すべてについて)に競技性を深く考えてもあまり意味はありません。

 順位点はトップとラスの間でだけでやり取りするとすると云う評価法を考えたのですが、どうでしょうか。

 たしかにそれも一案と思います。
 しかし順位点が得失点に従属する性格のものであれば、どのような方式も結局は似たり寄ったりの結果になると思います。

 順位点をトップとラスの額を等しくするというのは、何か競技の精神にもとるものなのでしょうか。

 それは“トップとラスの額を等しい順位点”方式を採用しているというだけの話しで、競技麻雀の精神とは関係ないと思います。

 順位点が競技の精神とは関係ないということは、順位点はあってもなくてもよい、という意味なのでしょうか?

 言葉足らずで失礼しました。そう言う意味ではありません。

 もともと麻雀は得失点の多寡だけで成績が争われていました。この麻雀大会では「競技麻雀であるから、トップ賞みたいなバクチ麻雀システムはよくない」というので、30,000点持ちの30,000点返しで行われていました。これを素点方式といいます。

 素点方式というのは、名前はなんとなくかっこいいのですが、言葉をかえて云うと、単なる点数かっぱぎシステムです(アガリ点を多く稼いだ者が勝ち)。しかし「麻雀は点数かっぱぎゲームではない」という競技的な意識の台頭とともに、順位を評価すべきではないかという考えが生まれました。そこで生まれたのが順位によって点数をプラス、あるいはマイナスするという順位点加算 or 順位点加減方式です。

 しかしこれには大きな問題があります。順位点は絶対的数値ではありません。そこで主催者の考えによって加算される順位点が異なってくることです。
*順位点が小さくては付加する意味が無い。大きすぎては、付加する部分の方がウエートが大きくなってしまう。

 さらにはプラスされるだけでなく、下位者に対してはマイナス点を付加するなど、さまざまな順位点方式が用いられるようになりました。いずれにしても順位点は恣意的な点数ですから、いろいろな考えに基づいて、さまざまな数字・方式が発生しても不思議ではありません。

 これはそもそも得点とは関係のない、というか、得点の結果である順位というものをむりやり得点に置き換え、得点と合体させようとすることから起きる必然の事態です。

 すなわち順位を評価したいという発想は間違っていなくても、恣意的な数字を得点に加算させるというのは、競技麻雀的な観点からはあまり良い方式とは思えません。そういう意味で、「それは“トップとラスの額を等しい順位点”方式を採用しているというだけの話しで、競技麻雀の精神とは関係ないと思います」とコメントしました。

 では順位を評価するのに、どのような方式がベターなのかということになりますが、誰が何と言っても麻雀ではトップが一番偉いわけです。そこで暫定的な方式として、一般の麻雀のように25,000点の30,000返しのようなトップ賞システムとするのがもっともベターと考えられます。

 このトップ賞システムの場合、2位は何の点数も付加されませんが、大体において2位はなんとかプラスになっていることが多いものです。いうなら2位は、それで充分と思いますす。

 もちろんこれは短期決戦である麻雀大会的な対局に関してであって、これが競技麻雀的方式というわけではありません。では競技麻雀的にはどのような方式であるべきかと云えば、ゲームが終わって順位が確定した時点で得点のことは忘れ、勝敗、あるいは順位だけを評価することです。

 野球で中日が巨人に初戦で10対0で勝ち、次に1対5で負けても、差し引き+6点で中日の勝ちとはなりません。囲碁でも羽生さんが中村さんに初戦10目差で勝ち、次に1目差で負けても9目差で羽生さんの勝ちとはなりません。それと同じことです。

 では麻雀ではどのようなシステムが考えられるかということになりますが、それについてはまた別の機会にしたいと思います。