歴史19・一盃口という名称


 「一盃口」の名前にはどうゆう由来があるのでしょうか。一つの盃(さかづき)と口が役と結び付かないもので。

 結びつかないですね。そもそも盃や口とは全然関係ないところからの当て字ですから。

 一盃口は正しくは一般高と表記します。直訳すれば「平均的な高さ」というほどの意ですが、麻雀では「似たもの同士」という意味で使用されます。たとえば三色同順は混一般高(ホンイーパンカオ)、三色同刻は対一般高(トイイーパンカオ)とも呼ばれます。

 そして一般高(イーパンカオ)は、一色同順とも呼ばれます。また求成双(チューチョンシャン)、哥倆好(カーリャンハオ)、同両順(トンリャンシュン)などの異名もあります。。

 関連役に二色同順=一姉妹(イーチーメー)という役(123、一二三の類)もありますが、いずれせよ中国ではマイナーな役でした。当然、戦前の日本麻雀ではまったく採用されていませんでした。

 第2次大戦後、満州麻雀を主体とした立直麻雀が関西を中心に急速に普及し、昭和22〜23年頃には関東にも伝播しました。この中に三色同順やイーペーコーが存在しました。

 もちろんイーペーコーは一般高なのですが、「いっぱんこう」とか「いっぺいこう」と発音され、関東の人には字が分かりませんでした。そこで当初は一配刻とか一並子、あるいは一傍高、一平行、一並口などと適当な字が当てられていました。

 戦後の立直麻雀の理論的指導者であった天野大三氏には、この「いっぺいこう」がまるで「一杯行こう」のように聞こえたといいます。そこで天野氏は、盃と口を組み合わせ、「一盃口」と当て字し、自書等で使用しました。そこでこの字がかなり普及し、現在に至っています。

 まあ、ここまで普及してるのですから「一盃口」でもいいのですが、中国麻雀でも一般高と表記しています。そこで私も一般高を使用しています。