歴史 15・点棒の歴史



 謎があります。
 世界中でゲームの貨幣を棒状の点棒で行っているのは麻雀だけだと思うのですが、違うのでしょうか。


 その通りです。というより中国麻雀では現在でも点棒=籌馬(チョーマー)は使用しません。
使用しているのは日本麻雀だけです。英語では、Bone(骨)と表現します。
中国麻雀でも、一部には籌馬が使用されていたことが推測される資料はあります。


 むかしの中国麻雀では、今の百点棒や千点、五千点、一万点棒は何点に数えていたのでしょうか。
 それともインフレ化したのち今の点棒が成立したのでしょうか。


 中国麻雀では、いまも昔も点棒は使いません(いつもニコニコ現○払い・・・・)。そこで、今の百点棒や千点等を何点に数えていたということもありません。

 で、いつ頃今の点棒が成立したというと、二十世紀初頭、上海に在住していた欧米人が使いだしたのが始めということですから、二十世紀初等頭という事になると思います。


 どうして英米人はポーカーのチップを使わずに、あのいかにも中国チックな点棒なんてものを使ったんでしょうか。
 わたしはあの点棒は「そうげんじゅ」(漢字が出ない)に似ていたので、てっきり中国製だと思っていました。


 「そうげんじゅ」は「荘元壽」と表記します。荘元壽は麻雀と遠戚関係にあるゲームですが、麻雀の点棒とは関係ありません。

 麻雀の点棒は中国語では籌馬(チョーマ)といいます。近年は合成樹脂製ですが、昔は牛骨製、そして高級品は象牙製でした。とはいえもともと麻雀はバクチゲーム。そこで中国で常に現金清算でしたから、点棒など使用しませんでした。
 しかし20世紀初頭、上海等の外国人商社マンの中で麻雀が流行するうちに、「毎回、現金で清算するのは面倒だ。ゲーム終了後、まとめて精算しよう」という事になりました。

 しかし手元にチップもないので、他の中国ゲーム、すなわち抽籤(チューチェン)というゲームの用具を使用したと言われます。抽籤は“籤(くじ)を抽(ひ)く”という字面(じづら)からも想像できるように、長細い筒に細長い棒が数十本 入っており、筒を振ることによって細長い棒を振り出すゲームです(日本のお神籤(みくじ)に似ています)。そしてこれが麻雀の点棒として定着し、現在に至っているわけです。

 当初は抽籤(チューチェン)をそのまま使用していましたが、やがて英米人商社マンは麻雀専用の点棒を作成し使用するようになりました。これは刻印の形状が中国製とは多少異なっていました。そこでEnglish Markingと呼ばれました。現在、日本麻雀で使用されているものは、このEnglish Markingの流れを汲んでいます。

しかしデザインが多少変化したとしても、点棒の刻印(黒丸や赤丸の数など)は、基本的には元々のゲームである抽籤のゲーム単位を表しています。麻雀の点数単位と、点棒の刻印(黒丸や赤丸)の数などが一致していないのは、そういう事情によります。


三跪九叩頭 投稿日:2007/05/14(Mon)

浅見さんこんばんは
どうして100点棒はブツブツが8つあるデザインなのでしょうか?
ちなみに中国の麻雀牌にもこれが入ってましたけど何か関係あるのでしょうか?
ちなみに、100点棒をシバ棒というののはなぜでしょうか?


あさみ 投稿日:2007/05/15(Tue)

 もともと麻雀はバクチだったので、中国人は点棒など使っていませんでした。20世紀に入って上海租界などの欧米人に麻雀が流行しだしました。その欧米人も最初は点棒を使わず、そのつど現金決済していました。しかし小さなアガリなのに大きなお金を出されると、お釣りに困ることもでてきます。するとそのつど両替の必要も生じたりします。

 そこでゲームが終わったあとに一挙に精算しようと云うことになりました。しかしそうなると、得失点の動きを把握できる用具が必要となります。そこで選ばれたのが抽籤(チューチェン)というゲームの用具と思われます。

 抽籤はやはり近代に中国で盛んに遊ばれてたゲームで、占いに使う筮竹(ぜいちく)状の竹の棒に天九牌の目を刻印したもの32本 用いたものです。

 抽籤で使用する細長い棒は4種類ほどあったので、「これはちょうどいい」ということになったと思われます。この点棒(もともとは籤馬(チョーマー)と呼ばれていました)は、とうぜん金額によって赤や黒のつぶつぶデザインが異なっていました。で このとき、黒粒が多くて一番安っぽい点棒が一番低い金額の点棒とされました。その後、時代とともに多少デザインが変わり、現在のような黒粒8個のデザインとなっていったのです。

>中国の麻雀牌にもこれが入ってましたけど、何か関係あるのでしょうか?

 現在でも中国人は点棒など使いませんが、日本では麻雀になくてはならない用具です。そこで外国人の土産用の麻雀牌には、点棒が入っているのです。もっとも欧米人が点棒を使ったのは初期だけで、すぐポーカーチップのようなものを使うようになりました。現在でも点棒を使っているのは、日本人くらいなものと思います。

>100点棒をシバ棒というののはなぜでしょうか?

 「シバ」は漢字では柴と書きます。
 昔話で云う「爺さん、山へ柴刈りに」の、「」です。堅苦しく云うと、「山野に自生する小ぶりの灌木」、平たく云えば(たきぎ)です。そこらにいくらでも生えているので、一番価値の低い100点棒を「柴のような価値の点棒=柴棒」と呼称したのです。


三跪九叩頭 投稿日:2007/05/19(Sat)

> もともと麻雀はバクチだったので、中国人は点棒など使っていませんでした(いつもニコニコ現金払いです

これは現在も本当みたいですね。点棒はまったく使わず、即 現金精算のようです。
ちなみに中国(北京か?)では一部、日本ルールでやってるグループがあるみたいです。ただ点数計算は翻のみで、基本的には日本といっしょなのですが、みんなお金の欲しいときはタンヤオを10翻?くらいにしたりするみたいです(笑)


あさみ 2007/05/19(Sat)

ども、三跪九叩頭さん

>これは現在も本当みたいですね

 ちと遠慮して「使っていませんでした」と過去形でコメントしました。(^-^; しかし現実には、いまでも「それが常識」という感じ.....

>ちなみに中国(北京か?)では一部、日本ルールでやってるグループがあるみたいです

 おお、なるへそ。フリテンなどのルールとかアガリ役の設定が日本ルール、ただし符計算はナシということですね。発想が純麻雀にちと似てる。(^-^)

>タンヤオを10翻?くらいにしたりするみたいです(笑)

やっぱり純麻雀とは、ちと異なるようです(笑)


Cr 投稿日:2012/12/09(Sun)

 あさみさん、今回のrrmm さんとのやりとりの中で僕もいくつか疑問に思ったことがあるので質問させて下さい。
 麻雀を覚えたころには「なんで千点棒には赤丸が1つで、百点棒には黒丸が8つなんだろう」と不思議に思っていたのですが、今回の件で「赤丸が1つ=千点棒、黒丸が8つ=百点棒」である必要は全くないことに気づきました。そこで質問なのですが

1.アルシーアル麻雀では、現在の百点棒や千点棒はそれぞれ何点を表していたんですか?

2.点棒の元になったのは天九牌だと思うんですが、どうしてあれらが選ばれたのでしょうか。

3.古い麻雀セットの中には天九牌の「1ー3」が点棒として使われているのがあった
ようですが、どうして今は使われていないのでしょうか。
お教え下さい。m(_ _)m


あさみ 投稿日:2012/12/09(Sun)

ども、Cr さん

>1.アルシーアル麻雀では、

かなり以前のことなので、ちと記憶が曖昧ですが(^-^;
σ(-_-)が当時 プレーしていた二十二麻雀では2千点持ちで、
一般日麻の万点棒=使用せず
〃   5千点棒(赤丸5)=5百点(2本)
〃    千点棒(赤丸1)=百点棒(9本)
〃    百点棒(黒丸10)=10点棒(10本)
だった記憶です。

>2.点棒の元になったのは天九牌だと〜どうしてあれらが選ばれたのか

「いつもニコニコ現金払い」が、「ゲーム後 精算」ということになったとき、単純に天九牌のドットが、精算金額を表すのに好都合だったからと思われます。

>3.古い麻雀セットの中には天九牌の「1ー3」が点棒として

「天九牌の」というより、「抽銭(チューチェン)の」という事だと思いますが。
これは単純に「よりスッキリしたデザインへ移行した。それにともない、古くさいデザインは消滅した」ということだと思います。

ドットデザインの多少の変更とともに、両端にそれぞれ存在していたドットが中央の一カ所だけの表示となったのは、「点棒を抽銭筒から振り出すわけじゃない。だったら中央の一カ所だけで表示すれば良い」と理由からだと思われます。


Cr 投稿日:2012/12/09(Sun)

ご回答ありがとうございます。
なるほど、点棒の直接の祖先は天九牌というよりはむしろ抽銭ですか。
僕は抽銭ってのは聞いたことがあるって程度で 具体的にどういうものなのかよく知らないのですが、こりゃ調べてみないといけませんね。