歴史 11・二十二麻雀


 アルシャール、あるいはアルシャール麻雀というのを聞いたのですが、これはどういう麻雀でなのでしょうか。

 これは太平洋戦争前に主流であった麻雀の通称です(現在ではほとんど行われていませんが、日本麻雀連盟やスポーツ麻雀など、一部で行われています)。

 アルシーアルのアルは二、シーは十の中国読み。そこでアルシーアルとは二十二という意味になります(普通はアルシーアルが訛ってアルシャールと発音されます)。

 そして第2次大戦前主流であった麻雀は、最低の得点となるアガリの場合、基本点(連底)が二十二点でした。

 連底がそれより低いアガリには二十点というアガリがあります。しかし二十点のアガリは符底20符のみのアガリですからアガリ型は平和(ピンフ)に決まっています。

 古典麻雀では食い平和の一翻ありでしたから、平和(ピンフ)のみ二十符のアガリは二倍され40符のアガリとなります。これが子のアガリであれば四倍されますから、得点は160点となります(親なら6倍されるので240点)。

 ところが二十二符の役無しのアガリですと(古典麻雀には一翻縛りはありません)、二十二符を2倍にすることができません。そこでいきなり4倍するのですが、当時の日本麻雀は四捨六入法を採用していました(中国古典麻雀は精算法)。

  そこで二十二符を4倍する前に四捨六入すると二十符になります。そしてこれをそのまま4倍すると結局、得点は80点となります。つまり二十点のアガリは160点になるのに、二十二点のアガリは、その半分の80点になってしまうわけです。

 これは当時の最低点のアガリです。そこでこのような特徴をもった麻雀を二十二麻雀、あるいは単にアルシャールと通称したのです。

 アルシャール麻雀と普通の麻雀とちがうのは点数のとこだけなのでしょうか? 役とかドラの有無はどうなるんでしょうか?

 現在の麻雀を立直麻雀と通称するのは、これが現在の麻雀の特徴、つまり二十二麻雀には立直が無かったわけです。

 このほか、一般高(イーペーコー)・三色(サンシキ)・七対子(チートイツ)・純全(じゅんチャン)・両般高(リャンペーコー)・緑一色(リューイーソー)などの役がありませんでした。もちろんドラは問題外です。