Piller stone 柱石 

    (8)出るべくして


 しばらく以前、某BBSでチャット麻雀なるものに参加していた。かなりの参加者もあって面白かった。参加者が大勢いれば、それなりに上級者、中級者、初級者みたいな差もできる。その上級者にもいろいろなタイプがいた。たとえば派手さはないがしぶといとか、シャープな切れ味で気持ちのいいとか、あるいは役満リストの常連とか。

 たしか役満王のKRさんともなると、70ゲームに1回くらいの役満率だったと記憶している。σ(-_-)なんか、せいぜい250ゲームに1回くらいだった筈だから、ダブルスコアどころの騒ぎではない。

 考えてみると、特に国士無双なんかは、配牌を得たときのプレーヤーの意志が大きくモノを云う。KRさんなんかは7,8枚からでも喜んでチャレンジしているんじゃないかと思ふくらいだ。

 そんないろいろなタイプの上級者の中にKoさんという人がいた。このKoさん、ゲームの最中によく相手に「出たぁ」と叫ばれていた。出たぁなんて、まるでお化けみたいだが、これはまさにそういう雰囲気で使われていた。

 いったい何が出たかと云えば、大きな手が出たという意味。たとえばKoさんが親でリーチをかける。一発でツモる。メンタンピンツモサンシキ一発でハネ満貫。しかし裏ドラが1枚乗って倍満貫。そこで出たぁー!というわけだ。

 しかし考えてみるとおかしな話。リーヅモ一発なんて誰にもある。裏ドラだって1枚や2枚なら誰だってしょっちゅう乗る。なぜKoさんのときだけ出たぁーと云われるのか。

 Koさんは満貫指向が強いタイプ。いや、「誰だって満貫指向は強い」と云われるかも知れない。しかし実際問題、普通の手作りで満貫が思うように出来るわけではない(出来るんなら、σ(-_-)だってやってらぁ)。

 それでもなんとか満貫欲しいとなれば、どうするか。そんなときKoさんはちょっと見には難しい、あるいはピンフ系が狙い目と思われる手からでも強い意志で一色手にもってゆき、結構成功させることが多い(そういやKoさんは、自分を「染め屋」なんて云ってたな)。

 そんな強引とも思われる打ち回しでやられた方は、「強引さ」でやられたとは思っても、「腕」でやられたとは思いにくい。いや、無理にでも思いたくない....

 そこでそんなKoさんがリーチをかけて、裏ドラがらみで大物手をアガると、(強引人間のKoさんが、裏ドラを載せて(また)お化けみたいな手をアガった。ツキ人間にはかなわん)との思いで(また)出たぁとなるわけである。

 百も二百も承知のように、一発/裏ドラの確率なんて誰でも同じ。それにノミの手がそうそうハネ満/倍満になるわけはない。それなりの手役の下地があってこそのハネ満/倍満。

 タンピン・サンシキなどをテンパイすれば、黙テンでも満貫。アガりやすさを考えてダマテンとされることも多い。それはそれで選択肢である。しかしKoさんはスパッとリーチ。それがリーチお化け(笑)につながる。

 偶然というのは、偶々(たまたま)然(しかり)=起きるから偶然という。偶然の度合いを超えて起きることは起きるべくして起きること。

 一色手にしてもリーチお化けにしても、たまたま出るのは、たまたま出ただけまたまた出るのは、出るべくして出たもの。それを単に(また)出たぁと云っているだけでは、これからもずっとKoさんにKOされ続けると思う次第だ。。。。

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