(38)ゾーンに入る
昔読んだゴルフの有名なエピソード。
ある選手権(女性の)で、優勝を決める難しいパット。ちょうど選手がパッティングに入ろうとしたとき、すぐ横を列車がゴウゴウと音を立てて通過した(イギリスのゴルフ場では、ゴルフ場の横を列車が走っているなんてよくあるらしい)。とてもじゃないがやかましいので、誰しもパッティングを中止すると思ったが彼女はそのまま打った。球は見事にカップインして彼女は優勝した。
あとでインタビュアーが「よくあんなうるさい列車が通過する中で、パッティングできましたね」と聞くと、彼女は「列車?、なんの話?」、パットにあまりにも集中していたので、回りの音がまったく聞こえなかったのだ。
このような状態を英語では「ゾーンに入る」と表現するらしい。日本語でいえば「入神状態」だ。どうしてこんな状態が起きるのか医学的なことはよく分からない。きっと集中力が高まると、よぶんな情報が入って来ないように脳がよぶんな神経回路を遮断してしまうのだろう。
しかし入神状態と言っても、その程度はさまざまなようだ。つまり大なり小なり、誰でもこういう状態はよくある。もちろんσ(-_-)だってある。
普通に始めた麻雀が、なんとなくツイている。(お、今日は調子いいじゃん)と思いながら気分良く打っていると、本格的なバカヅキ状態に。どんな配牌でも自由自在の満貫コース。何も考えずにツモ牌・打牌をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。もうボルテージが上がって、頭の中は薬缶(やかん)が沸騰してるよう。(笑)しかしこんなのはなりゆきでハマっただけで、本来の意味の入神状態とはちと内容が違うようだ。
やる前から気合いが入っていた対局で、集中力が高かった。そのままゲームに入って数ゲームプレーしたが、その全ゲーム、かなりゾーンに入っていた。不思議なことに、こんなときは頭は薬缶が沸騰するどころかクールそのもの。熱くもなんともならないが、回りの雑音はいっさい耳に入らない。卓を囲んだプレーヤーの動作と盤面だけしか目に入らない。それこそ、全ゲームが終了したとき、我に返ったくらいの気持ちだった。きっとこんなんが本当の<ゾーンに入った>状態なんだろな。
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