Mahjan talk 雀話

    (31)交渉人


 スポーツ新聞や麻雀雑誌には、必ずと言っていいほど何切るクイズが掲載されている。麻雀雑誌などでは、出題者が無記名なものもある。しかしスポーツ新聞となると、○○連盟9段とか、△△協会プロというように、ネームバリューのある人が多い。この世界に長いこと片足を突っ込んできたせいで、○○9段とか△△プロと聞くと、大体その人のことが思い浮かぶ。ところが先般、あるスポーツ紙で「根越英太」という署名の何切るクイズを見かけた。

 「根越英太?、はて誰だろう」、聞いたことが無い。肩書きには麻雀評論家とある。かなりの有力スポーツ紙だけに、名も知らぬプロを拾ってくるわけはない(名も知らぬとは、麻雀がうまい/ヘタではなくて、有名じゃないと言う意味だよん)。

 実は10年ほど前に、σ(-_-)も某スポーツ紙で何切るの連載をやらないかという話があった。短期ならともかく、エンドレスでの長期連載。日によっての多少の出来不出来は仕方がないとしても、一定レベルをキープするのはホントに大変。それで丁重にお断りした。しかし根越さんの何切るは、なかなかいい。それで暫くの間、誰だろう、と思ってた。

 しかし文章とは面白いもので、誰にもなんとなくクセみたいなものがある。毎回のようにクイズの前振りを読んでいるうちに、ある人の顔が浮かんできた。そこで彼に電話して聞いてみた。

「で、根岸英太って、○○さんかいな?」
「はい、でも根岸(ねぎし)ではなく、根越(ねごし)です」
「あ、根越か、こりは失礼。でもなんで根越英太?」
「実は、ネゴシェーターのもじりで」
「そっか、江戸川乱歩のノリか」(ナットク)

 その根越さんの、ある日の何切る。

 二萬三萬一筒二筒三筒七筒九筒九筒一索一索二索中中

 南の1局、全員、ほぼ横一直線の状態での南家、4巡目の手。ここへ上家から一萬が出た。何切るというより、この一萬を鳴くか鳴かないかという問題。

 鳴いても鳴かなくても、どちらが間違いという問題ではない。いうなら「あなたはどちら派?」という問題。

 鳴けば最高でも3900、ヘタすると1000点となる。10巡目以降ならともかく、4巡目ではさすがに鳴く気にはならん。実際鳴かない派の方が多いだろう、と思いつつ解説をみると、「仕掛けて速攻のアガリを目指す」

 ふにゅう〜、交渉人は粘り腰が身上じゃないのか。。。。

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