最初に云っておくけど、雀話は小説や笑話のカテゴリーではない。細かい部分は別として、実話だかんね。
Ｔ内という高校の後輩がいる。Ｍ治大学へ入ったが、学業なんか二の次で麻雀一直線という、まことに模範的な学生だった。そんな感心な後輩なので、σ(-_-)も東京にいた頃、アイウエオでよく一緒に打った。その頃、まだ小島武夫さんがアイウエオのフロアマネージャーをしていたので、Ｔ内も小島さんと話をしたことがある。
そのＴ内が大学を卒業して、海外資本の海運会社(日本支社)へ入社した。 入社したら、配属先きの上司がいきなり
「キミ、麻雀できるか？」
「ハイ」
と返事したら、さっそく誘われた。打ってみたら、（なに？）というヘボばっかりで、快勝した（大分経ってからσ(-_-)もその会社の人たちと打ったが、ヤッパリヘタだった。(-_-； ）。
「お前、ずいぶん強いなあ。大学で麻雀ばっかりしてたんじゃないか」
調子のいい奴なので図に乗って
「先輩(上司のこと)、浅見了とか、小島武夫って知ってます？」と言った。そしたら、「浅見了なんてチンケな名前は知らないが、小島武夫なら知ってるぞ。たしかテレビでイカサマ見せた奴じゃないか」
そこで「そうです。自分は学生時代、その小島武夫プロと毎日麻雀してたんですよ」と吹くだけ吹いた。すると麻雀がヘタな上司は信じ切って、いたく感心した。（笑）
そしたらその上司が或る取引先で、「今度、うちの会社にすごいヤリ手が入社した」と話した。するとその取引先の重役が、「ぜひ一度打ちたい」と言い出し、やがて対局が実現した。
１ゲーム目と２ゲームめ目、どうにも牌が回らずマイナスで終了。取引先の重役、「チミイ、プロと毎日、打っておったと云っても大したことはないねえ」と、いたくご機嫌。（この野郎）と思ったって、相手は上得意様の重役。おまけに現実に負けている。しょうがないから、「はぁ、頑張ります」と云って３ゲーム目に入った。
その３ゲーム目もマイナスのまま南場に入った。ところが南の２局か３局。思いがけなく四暗刻をアガって逆転トップとなった。すると重役、「ふんふん、チミもなかなかやるねぇ」
４ゲーム目。一進一退で迎えた南１局の親。配牌を開けてみたらアガっていた。(ﾟCﾟ) とうぜんそのゲームもトップ。すると重役のご機嫌が少しナナメになった。
５ゲーム目、東の３局。配牌をみたら、索子が多いし が２枚ある。（よし、索子の混一）と思ってやっていたら、緑一色をアガってしまった。
アガったとたんに相手の上役が雀卓を叩いて怒りだした。「ヤるヤるとは聞いておったが、素人相手にそこまでヤるかっ！。２度までは我慢するが３回ヤるとはなにごとだっ！。モノには程度があるっ！」って云うんで、勝ったお金は一銭も貰えず、お開きとなった。
そんなエピーソードがあるＴ内、10年ほど前にベルギー支店に転勤になった。もちろんベルギー語が話せるわけではない（ベルギー語って、あるんかいな？）。現地における日本商社担当である。
そのＴ内が、数年前、日本に帰ってきた。勤務先は東京だから、帰国したからといって、σ(-_-)と会うことはない。しかし盆休みで先日名古屋まできた。そこで10年ぶりで会い、他の人間を交えて飲んだ。いまから話すのは、そのとき聞いたベルギーでの麻雀思いで話。
ベルギーへ行くとき、Ｔ内は「麻雀封印」を決心した。というのは、ベルギー駐在の日本人商社マンは、麻雀大好き人間ばっかり。「麻雀できます」なんて云うと、毎日引っ張りダコになる。奥さんと一緒の海外赴任であるが、奥さんはあんまりいい顔してない。その奥さんのご機嫌がますます悪くなっては大変と、麻雀を封印することにしたわけ。
それでベルギー駐在中、「麻雀できません」で押し通した。２，３年たったころ、日本から、会社の後輩が派遣されてきた。こいつがまた麻雀基地外。誘われるどころか、自分から取引先との麻雀に出掛けて行く。
そうこうするうちに、また数年経ち、Ｔ内が帰国することになった。そしたら後輩の麻雀基地外が、「送別会をしましょう」
「おお、ありがとう」というと、「Ｔ内さんは、本当に麻雀知らないんですか？」。そこで「そりゃあ並べたことくらいは....」と云うと、「そうですか。それじゃあ送別会は取引先も呼んで、麻雀大会にしましょう！」
（えっ？）とちょっとビックリしたので、そいで、「みんなが楽しければそれでもいいけど。でもそんなことしたら、きっと自分が優勝しちゃうよ」と返事した。そしたら「ははは、まさかそんな事は....」
それで麻雀大会の当日、ゲームが始まる前、Ｔ内が後輩に「おい、麻雀て、たしか同じ牌２枚と、あとは同じモン３枚か１２３というやつを４つ、作るんだったよなぁ」と云った。すると後輩が「そうですよ」
Ｔ内が調子に乗って、
「そいで、おんなじ牌を二つづつ集めるニコニコって云うのもあるんだったか？」
「え？、Ｔ内さん、もうじきゲームが始まるのに、そんなんで大丈夫ですか？。まだタンヤオとかホンイツとかトイトイって云うのがあるんですが、教えましょうか？」
「いや、こいだけ知っておけば優勝間違いないから大丈夫だよ」
「はははは、まぁ、先輩、ガンバってください」
そいで大会が始まったけど、結局ぶっちぎりで優勝したって。（大笑）
まぁ酒飲みながらの話だから、どこまでデフォルメされているか知らない。でもデフォルメはあっても、ウソを云う奴じゃない。学生時代には、つるんで高田馬場(早稲田のなわばりの雀荘)に遠征に行った仲でもある。基本線はホントの話だと思うんで書く気になった。
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