Mahjan talk 雀話

    (100)七色ローズ


 麻雀小説とか麻雀コミックとなると、主人公はたいていイカサマの達人。まぁホントに弱ったもんだ。

 それはともかく、このイカサマも個人技とコンビ技の2種類に大別できる。個人技では、むかしから元禄だとか爆弾なんてのが有名。爆弾も2カ所、3カ所となるといくらなんでも難しいが、1カ所だけで済むドラ爆は簡単だし効果も大きい。

 大学3年の時、アイウエオでゲームしてるとき、親番となった。壁牌を積み終わってサイコロを振ったら5が出た。そこで「よしっ、ドラ爆成功!」と軽口を言った。そいで配牌を始めたら、東ダブが暗刻....(あらぁ・・・)と思いながらドラ指示牌をめくると、なんと北。(゚0゚) もう真っ青になった。

 手そのものも3上聴くらいだったが、とてもじゃないがアガれたもんじゃない。心の中で(バカバカバカ)と百回くらい云いながら、ひたすら降りた....(号泣涕泣すすり泣き)。

 しかし現実にはこんなに効果があっても、麻雀コミックとなると、こんな程度の積み込みではインパクトゼロ。やはり数カ所に仕込んだ爆弾の方が、話としてはインパクトがある。

 この手でもっとも有名なのは麻雀放浪記、出目徳の大四喜爆弾。はじめて読んだときは、(やはり達人となると、ここまでやれるのか)と心から感心した。(-_-;

 しかし今となっては、この程度の積み込みは陳腐となった。そこで奇想天外な積み込みが登場する。その中で印象に残っているのは、バードに登場する。指先を切り落として磁石を埋め込むなんて、コミックの世界でしかあり得ない大技。

 で、もう1種類のコンビ技。ようするに二人が組んで、いろいろな形でサインを出し合って打ち回すやつ。互いにサインを出し合うので、俗に通し(とお)しTO ̄SI(^-^)とかローズと云う。

 通しという表現はそのものズバリだから分かるが、ローズの方はどうしてそう言うのか寡聞にして知らない。このローズ、大別するとチクローズ指ローズに分かれる。

 いうまでもなくチクローズの方は、密告する=ちくるから来た表現。これももっとも有名なのは、麻雀放浪記の出目徳の2の2の天和。毎回言葉でサインを交わすチクローズとはちと異なるが、「明日は雨かなぁ」は一世を風靡した名セリフ。

 もう一つの指ローズは、仲間同士が指でサインを交わし合うもの。軽く卓上においた右手の指の形で、仲間にテンパイを知らせたりする。

 むかしあるところで(って、なんか聖人君子のイメージが崩れっぱなし....(_ _; あ、あ、あのころは、誰でもそんな芸当の一つや二つできるのが常識だったんだってば....)、「これは万子、これは筒子、これは....」と決めておいて麻雀をした。

 ところがある局で、四萬中の双ポン待ちとなった。数牌と字牌の双ポンまでは決めてなかったので、ハタと困った...仕方ないからリーチしてから、一萬四萬七萬とだけ通した。

 ところがそのうち、上家が一萬を切って追っかけリーチと来た。アガリじゃないから知らん顔していたが、対面の相棒が変な顔してこっちを見る。(おひ、そんな顔するなよ。バレちゃうじゃないか...)

 そしたら、やがて追っかけリーチの上家がツモアガった。そこでσ(-_-)も「いやぁ、こんな待ちではやっぱりアガれなかったな」と云いながら、手を開けた。そしたら相棒が納得した顔でこっちを見た....(くどいようだけど、みい〜んな、生意気盛りの学生時代の話だかんね)

 で、ようやくこれからが本題。
 そんなローズも、σ(-_-)のやったような指ローズでは麻雀コミックとしてはインパクトがない。そこでやはり奇想天外というか傑作な手口が登場する。そんな傑作手口が次から次へと出てくるのが、さいふうめい・原作、星野泰視・画の「哲也(講談社)」。

         

 携帯電話を使ったり、雀荘の中をインコが飛び廻ったり、変わった手がいろいろ登場している。そんなかでも最大傑作と思うのが七色ローズ

 七色ローズというのは、指ローズの1種というか、もう腕ローズ。自分の欲しい牌を手話のように手を動かして相棒に伝える。

        

 この七色ローズ、「六索が欲しい」というとき、そのサインにプラスして不必要な動きを混ぜる。いうなら野球のブロックサイン。そのため余分にたくさん手を動かすので、「バババッ」ということになる。哲也の相棒であるダンチが「駄目だ、分からねぇ」と悲鳴をあげるが、手話じたい、普通の人間には分からねぇと思うぞ。(^-^;

 でどうしてこの七色ローズが最大傑作と思うかと云うと、そもそもローズは、通しをやっていることが相手に分からないようにやるモノ。そこでこっそり携帯電話を使ったり、インコを利用したりする。

 なのにローズしていること自体がバレバレの七色ローズでは、たとえ内容が相手に分からなくても意味がない。その意味がないローズ七色ローズと称してやっているのだから、これは間違いなくローズの最大傑作。(^-^)

 そんな意味のないことに対して「駄目だ、分からねぇ」なんて言ってるダンチには、「駄目だ、おめぇは分かってねぇ」と小1時間は問い詰めたい。(笑)

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