基本11・食いタン+食いピンフ


  食い下がりがある以上、原理的に考えるとすべてのイーハン役はイーハン下がりしなくてはならない(と私は考える)のですが、タンヤオだけに限って、クイタンがある(食い下がりしない)のはなぜでしょうか。

 これは単なる妥当性としか説明のしようのないものでしょうか?。つまり食いピンフは容易にできすぎて、ゲームの面白みを削ぐが、食いタンヤオ程度は残しておいた方が面白いという・・・


 >これは単なる妥当性としか説明のしようのないものでしょうか?。

 一言で云うと、そういうことになります。
 もともとすべてのアガリ役に、食い下がりはありませんでした。それが時代の流れの中で、リーチ麻雀というゲームの形態に合わせての妥当性が求められ、いろいろな役の翻数がアップしました。

 それまでアガリ役は門前アガリでも副露アガリでも翻数に変化はしませんでしたが、アップした代わりに、副露アガリしやすい役は一翻下がりするようになりました。とうぜん平和(ピンフ)一般高(イーペーコー)も食うとアガリやすい役なので、食うとゼロ翻ということになりました。しかし断幺(タンヤオ)は「そのままにしておいた方がゲーム性が豊かになる」ということで、そのままになっているのです。


 「ピンフと複合する役がイーハン下がりの対象になる」ということを聞いた事があるのですが、本当でしょうか?


 確かに結果的にはそのような状況となっています。しかしそれはあくまで結果論です。じっさいタンヤオはピンフと複合しますが、食い下がりしないというのがメジャーなルールです。

 現在、二翻である三色一通対々和。あるいは三翻である混一色などは、もともと一翻あるいは二翻でした(もっと昔はノー翻、あるいは一翻でした)。それが二翻、あるいは三翻にアップし、そのかわり食い下がりするという形になりました。しかしそれは、「平和と複合する」ということとなんの関係はありません。

 現在、平和と複合する役が一翻下がりの対象のような結果になっているのは、単純に、「チーポンの両方ができる役は作りやすい」ということが理由と思われます。


 一盃口という役は門前であれば、出アガリでも役がつきますよね。しかし出アガリは人の打牌でアガるのですから、鳴きと同じになるのではないかなと・・・。

 たとえば符の計算の場合しゃんぽんで出上がりのとき、:暗刻の計算て確かつもってきたのと違って鳴いたのと同じ点数になりますよね。このへんの整合性はどうなるんでしょう。


 刻子の場合、他人の打牌でアガった場合は明刻となります。しかし順子は、自分で作った順子(暗順子)であろうと、吃(チー)して作った順子(明順子)であろうと、どのみちメンツによる符はありません。そこで門前清でアガった場合、栄和(ロンホー)であっても順子は暗順子扱いとなっているのです。


 喰い下がりについて、博多のとある雀荘で面白いルールを採用しているので紹介します。

 店の名は「不○クラブ」。昭和31年にオープンし、小島武夫さんもメンバーをつとめていたことがある雀荘です。この店のルールでは、元々、「三色同順」や「一盃口」は無かったそうです。

 「全帯幺」と「一気通貫」は最初からありました。「断幺九」もありました。「平和」もありますが、「ツモ平和」はありません。そして「喰い平和」があります。「喰い平和」は「三色同順」を採用する以前からありました。雀歴25年以上の方が客層の中心ということもあって、割と昔からルールに変化がありません。

現在の喰い下がりに関する規則は以下のようになっています。
 「全帯幺」は、二飜で食い下がりしない(「純全帯幺」はありません)。
 「一気通貫」は、二飜で食い下がりしない。
 「一盃口」は、門前なら1飜、喰ったら0飜。
 「三色同順」は、門前なら2飜、喰ったら1飜。

 このルールで麻雀を覚えた私は、「平和と絡む役が食い下がりの対象になる」ではなく、「断幺九と絡む順子系の役が食い下がりする」という風に思ってました。もしかすると、昔はこういうのが一般的だったんではないかな?などと想像します。でなければ、食い下がりなんて元々無かった、新しく作られた役だけに食い下がりが採用されて、それが徐々に他の役にも浸透していった、というようにも思えるのですが、いかがでしょうか?

 もちろん「一盃口」や「三色同順」は「断幺九」と同じくらい昔からあったとすれば、この推測は、根本から間違いということになってしまいますが....


 全帯幺(チャンタヤオ)が「」と「」に分離していないのは、二十二(アルシャール)麻雀の匂いがプンプンしてていいですね。

 「全帯幺」や「一気通貫」、あるいは「断幺九」は第2次大戦前に主流であった二十二麻雀でも一翻として採用されていた役です。そこで不○クラブでも最初から採用されていても当然と思います。しかし「三色同順」や「一盃口」は第2次大戦後、立直とともに普及した役ですから、不○クラブも第2次大戦後、できた雀荘なのでしょう。

 また「ツモ平和」の件ですが、昔から名古屋以西は「ツモ平和」は採用されていません。ただ名古屋はちょうど中間点なので、最近は若い人を中心に「ツモ平和アリ」のルールもかなり行われています。また二十二麻雀では「喰い下がり」自体ありません。喰い下がりが無いということは、役がなくならないのですから、喰い平和があることになるのは当然ですね。

 前述したように、第2次大戦前主流であった二十二麻雀では喰い下がりはありませんでした。というよりもともと「門前清(メンゼンチン)」という役自体、華北のローカル役で、中国麻雀の本流の役ではありませんでした(現在の中国麻雀でもそうです)。門前清という役自体がないということは食っても食わなくても同じということ。そこで一翻役であれば、門前、副露に関係なく一翻だったわけです。

 また中国古典麻雀では和了役も、混一色が一翻、清一色が三翻としてあるだけで、対々和などは「符役(符が貰えるだけの役)」でした。しかし時代を経るにしたがい、中国麻雀にも和了役の昇格機運が高まり、多くの和了役が一翻役に上昇しました。

 その中でアガリ役どころか、符役でもない平和(ピンフ)も一翻役に昇格しました。そこで下記のような2門張は平和(ピンフ)となりました(単騎や嵌張の2点がつかない)。

 二筒三筒四筒五筒六筒七筒一索二索三索七索七索七索九索  八索九索マチ

 しかし平和が一翻役へ昇格すると、このような形は加2符の対象となり、平和(ピンフ)ではないという事になりました。

 そして中国麻雀でローカルであった門前清ですが、日本麻雀では全面的に受け入れられました。そこで一時期は「門前清栄和一翻、摸和二翻」というルールまで提案された事があるくらいです。門前清はこの他にもいろいろな扱いが提案されましたが、昭和4年のレインボー会議で「門前清栄和加10符、摸和一翻」と統一され、今日に至っています。

 そして戦後、立直麻雀の普及に伴って日本でも和了役の昇格機運に生じ、一翻役の中から三色(サンシキ)、一通(ぃッっぅ)、全帯幺(チャンタヤオ)など、平和(ピンフ)一般高(イーペーコー)より難度が高い役が門前はプラス一翻となりました。これらがある時期に至って門前二翻、食い下がり一翻と表現される様になり、今日に至っています。

 最後に、一盃口三色同順断幺九と同じくらい昔からあったかどうかと言うことですが、麻雀以前の古典ゲームは含めないで、麻雀というゲームの範疇での話しとすれば、もちろんありました。ただ派生年代、派生地域はそれぞれ異なるようです。


keito 投稿日:2004/08/25(Wed)

こんにちは、質問させてください。

食い断公九なしのルールの場合、鳴いた時点で断公九が消滅するため、ドラがいくつあってもそれだけ(ありルールでは断公九、ドラ○の形)ではあがれませんよね?

それともクイタンを断公九の食い下がり0翻としてとらえ、「クイタン(0役)・ドラ○」の形であがることはできますか?

また、同じくクイタンなしのルールで、クイタンのみでのあがりは不可だけど、クイタンとトイトイでは3役になる(他の役も付いていれば断公九も点数に入れる)というルールは珍しいですか?


あさみ 投稿日:2004/08/25(Wed)

 こんにちわ、keitoさん
 最初の質問ですが、クイタン無しのルールですと、ドラがいくつあってもアガることはできません。

>同じくクイタンなしのルールで、クイタンのみでのあがりは不可だけど、クイタンとトイトイでは3役>になる(他の役も付いていれば断公九も点数に入れる)というルールは珍しいですか?

 珍しくありません。と云うより後付けOKの普通のルールで、単にクイタンが無いというルールの場合、トイトイアガリならタンヤオが計算されるのが一般的と思います。もちろんトイトイは門前でアガることも可能ですが、基本的に鳴いてアガる役と考えられているからです。

 逆に言えばクイタンなしのルールでもタンヤオが計算されるのは、トイトイのアガリに限られることになります。そこで食いサンシキ食いチンイツなど、トイトイ以外のアガリでは、タンヤオは計算されません

 ただしこれが完先ルールですと、トイトイでもタンヤオは認められない可能性が強いと思います。この場合は、ツモり四暗刻型でロンしたときのみタンヤオが付くことになります。


コットン 投稿日:2004/08/26(Thu)

すみません、コットンです。

ポンした牌は明刻ですし、ポシャで上がった場合もそのメンツは明刻になりますよね?
そしたらクイタンなしのルールの場合、「タンヤオは門前のテンパイでもロン上がりできない
という事になるのではないでしょうか。


あさみ 投稿日:2004/08/26(Thu)

 こんにちわ、コットンさん

 クイタンなしとかクイピンなしという場合、チーポンしてのアガリはダメという意味です。つまり門前のロンアガリは対象になっていないのです。そこでどんなにハードな完全先付けルールでもタンヤオ確定の門前テンパイであればロンアガリできます。


いしりす 投稿日:2004/08/29(Sun)

こんばんはー。みなさま。
東北は、クイタンなしルール多いので、一例を。

タンヤオは 面前のみの役というのが、うち地域で多いようです。
よって、うちの地域は、鳴いたトイトイにはタンオヤはつきません。
浅見さんの通り、四暗の時のみタンヤオがつきますが・・・意味ないですね。


あさみ 投稿日:2004/08/30(Mon)

こんにちわ、いしりすさん

そうか、東北では完先ルールでなくても、トイトイでタンヤオがつかないことが多いんですか。珍しいですね。
情報として、該当コラムに書き足させていただきますね。(^-^)/


CHANTA 投稿日:2012/12/10(Mon)

こんにちは、韓麻連のチャンタです。
日本で使われるルールの中で喰い断と喰い平和に対して質問させていただきます。

喰い断ナシのルールはいつ発生したか、現在、または過去には喰い断アリとナシの採用の割合がどの位ですか?

喰い平和10符加符のルールを使わない場合もありますか?
ネット麻雀では10符加符ルールを採用していたんですが……

韓国麻雀連盟と麻雀100倍楽しみのルール(以下韓麻連と麻雀100)を読んで疑問が生じました。
韓国で喰い断アリがメジャーのルールになったことは 2010〜2011年で、長らく喰い断ナシルールが使われました。韓麻連は喰い断ナシルールが2010年まで基本ルールだったし、麻雀100は現在も喰い断ナシルールです。
中張牌ドラをチー、ポンで手軽く持って行くことや、高い役の和がりが難しいと言う理由で嫌やがる方もいます。私は却って喰い断ナシはあまり門前を重視して進行速度を遅くすると思う人ですが……

喰い平和のルールも、韓麻連は20符で計算し、麻雀100は最少の和がり点が1000点と言う理由で1飜20符の和がりを禁止します(しかし10符加符ルールもメジャーのルールで使われています)。
日本で喰い平和加符ルールを明示した所がなくてあまり使われないルールと間違えって、そんな規則を作った……と分かっています。
10符の増える理由がないと思って、これが合理的だと思う方もいます。私は和がり点が700点でノ−テン罰符より少ない事はおかしい、1飜20符が最少和がり点が1000点と言う理由で和がりを禁止するなら、無飜60符は和がり可能ではなければならないのではないか……という理由で10符加符が合理的だと思う人ですが。

補足です。
現在は韓麻連も喰い平和加符ルールを採用するかは選択にしていますが、喰い平和加符ルール使用が基本ルールになっていると言います。10符ではなく2符で規定に出ていたりしますが。しかしまだ韓国では喰い平和加符ルールを使わない場合があります。


あさみ 投稿日:2012/12/12(Wed)

こんにちわ、チャンタさん(^^)/

>喰い断ナシのルールはいつ発生したか

自然発生したルールの発生年代を特定するのは困難ですが、少なくとも第二次世界大戦が終了する1945年以前に存在しなかったのは確かです。
そして1965年〜1970年くらいには、それなりに普及していたようです。
そんな状況から推測すると、喰い断ナシルールは1960年前後くらいに発生したのではないかと思います。

> 現在、または過去には喰い断アリとナシの採用の割合がどの位ですか?

 アンケートや統計などが存在しないので、採用の割合などは不明です。
しかし日本では食い断アリが主流です。実際 フリー雀荘などでは、ほとんど「食い断アリ」ルールが採用されています。
そんな状況から考えると(まったくの当てずっぽうになりますが)、1(食い断ナシ)対9(食い断アリ)くらいではないかと思います。

>喰い平和10符加符のルールを使わない場合もありますか?

「10符加符のルールを使わないでプレーしている」という話を聞いたことがある程度です。しかし実際に使わないでプレーしているという人達に遭ったことはありません。

>中張牌ドラをチー、ポンで手軽く持って行くことや、高い役の和がりが難しいと言う理由で嫌やがる方もいます。

たしかに初級のうちは、そのようなイメージを持つプレーヤーが多いようです。
しかし やがて自分もベテランになってくると、変わってくるようです(^-^;

>10符の増える理由がないと思って、これが合理的だと思う方もいます。

たしかに そのように考える人もいますね。しかしそれは無意味な こだわりと思います。
ご存知のように現在の一般日麻での計算法は、端数オール切り上げ式です。それも小符段階と累乗結果段階の2度に渡って切り上げます。
その結果、細かく計算した場合と比較すると、親で2千点ほどの差が生じる場合があります。そんな大幅な切り上げ計算法を採用しているのですから、一翻アガリでいえば700点と1000点の差である300点程度のことに こだわらなくてもいいと思う次第(^-^;

>…という理由で10符加符が合理的だと思う人ですが。

もちろんσ(-_-)も そのように思います(^-^)v
食い平和10符加符ルールを提唱したのはσ(-_-)ですが、だから賛成というわけではないですよ(^-^;
端数オール切り上げですから 加2符でも同じことになります。どうせ10符に切り上げるのですから、最初から「加10符」としたのです。


CHANTA 投稿日:2012/12/12(Wed)

なるほど。答えてくださってありがとうございます。浅見さん。
やはり日本では喰い断と10符加符ルールが全部と言っても良い位で使いますね。
韓国でも現在は喰い断と10符加符ルールがメジャーで定着しましたが、いまだにこの二つのルールに拒否感を感じる方も多いようです。


rrmm 投稿日:2012/12/13(Thu)

Hi,CHANTA:
Do u think 喰い断ナシbetter than 喰い断アリ?


あさみ 投稿日:2012/12/17(Mon)

Hi Mr.rrmm
Mr.CHANTA think 食い断アリ better than 食い断ナシ.


rrmm 投稿日:2012/12/18(Tue)

> Hi Mr.rrmm
> Mr.CHANTA think 食い断アリ better than 食い断ナシ.

Yes,I agree too.
I like to play more freely.
it's a mainstream rule.


Cr 投稿日:2012/12/13(Thu)

Crです。
食い断って「アリ」か「ナシ」かなのでしょうか。
私は麻雀を父から習いましたが(因みに父はおそらくあさみさんと同世代だと思います)、そのルールでは食い断は「ドラ扱い」でした。
つまり「食い断のみ」や「食い断+ドラ」で和了るのはナシですが、「トイトイタンヤオ」やら「鳴いてタンヤオ三色」やらはアリでした。
因みにこのルールではリンシャンやハイテイなどの偶然役もドラ扱いでした。

大学に入ったら友人たちのルールとまるで噛み合わないので父のルールでは打たなくなってしまいましたが、このルールってそんなに変なんでしょうか?



あさみ 投稿日:2012/12/13(Thu)

ども、Crさん

>そのルールでは食い断は「ドラ扱い」でした。

σ(-_-)の回りで「食い断ナシでプレーしている」という人がたまに出没するようになった頃(たぶん1965年以降くらいか...)、食い断=ドラ扱いというルールを聞いたことが有るような無いような...いずれにしても .かなり昔の話なので、いささか記憶が曖昧(>_<)。

ただ当時、こんなヤリトリがあったことは覚えています。
あるときの家庭麻雀、メンバーAが食い断ナシルールを提案(Aの提案ルールは、食い断はドラ扱いではなかった。当然 食いサンシキをタンヤオ形で上っても、タンヤオはつかない)。

 そこでσ(-_-)が「トイトイのときは どうなるのか」と聞き返すと、「トイトイは鳴いて上る役なのでタンヤオはつく」という返事。 するとメンバーBが、「トイトイだってツモり四暗刻形なら、門前でも できるじゃないか」と反論。
 協議の結果(^-^;、メンバーAの顔を立て、そのときは「食い断ナシ and トイトイのときはオッケー」でゲームしました。しかし 云うまでもなく不自由なルール、それ以後は打った記憶がありません(^-^;


Cr 投稿日:2012/12/15(Sat)

ご回答ありがとうございます。

> σ(-_-)の回りで「食い断ナシでプレーしている」という人がたまに出没するようになった頃(たぶん1965年以降くらいか...)、
> 食い断=ドラ扱いというルールを聞いたことが有るような無いようなというくらい...

そうなんですか!「割と珍しいルール」くらいに考えてきたのですが、実は「すごく珍しい
ルール」なんですね……。

思えば父のルールはいろいろと珍しいところがあります。広い意味でのナシナシということになるんでしょうが、完先ではありません。
いわゆる「中ヅケ」アリで(と言うと友人から「中ヅケって何?」と聞かれたもんです)
・面前でテンパイしたら先ヅケ等の制約一切ナシ。
・ツモピンフなし。
・フリテンリーチ、ノーテンリーチ、リーチ後の見逃し禁止。

でも父は麻雀仲間とこのルールで打っているはずなので、このルールを採用している人は他に少なくとも何人かはいるはずです。


あさみ 投稿日:2012/12/17(Mon)

>実は「すごく珍しいルール」なんですね……。

「すごく」かどうかまでは分かりませんが(^-^; 珍しいといえば たしかに珍しい。

>父は麻雀仲間とこのルールで打っているはずなので、

ルールを見ると、関西系の中ヅケルールという感じですね。