(57)ヘルメット
先日、テレビ映画(洋画)を見ていたら、主人公が工事作業員に変装するシチュエーションがあった。見ているとヘルメットの顎紐をキチンとしていない。昔の経験から漠然と(アゴ紐をしていないとアブないなぁ)と思っていたら、果たして数分後、主人公が大きな穴を覗いた拍子にのヘルメットが脱げて穴の底に落ちていった。。。。
しかしどうもその穴が如何に深いかという事を示したかっただけで、脱げたこと自体はストーリーに直接関係がなかった。しかし顎紐をキチンとしなかった事になんとなく腹が立った。
今から25年ほど前、父の遠縁に当たる人が耕耘機に乗って畑に向かった。いちおうヘルメットもしていた。農道で他の車とすれ違とき路肩に車輪を落とし、耕耘機から投げ出された。下は畑だったので本来なら大した事にならなかったかも知れない。しかし顎紐をしていなかったため、ヘルメットは投げ出された瞬間に脱げてしまった。
そして地面に頭を打ち付けたとき、そこにはフットボール大の石があった。直ちに病院に運ばれたが、残念な結果になってしまった。あのとき顎紐さえしていれば助かったかも知れないのに。
同じく25年ほど前の夜8時頃、友人Aとファミレスでコーヒータイムをした。ひとしきりクッチャベッて店を出た。友人の運転で店を出た。私は助手席だ。駐車場から車道に出るとき、一旦停止した。ここまでは当たり前だ。
友人が車の流を確認するため右の方を見ている。私も何気なく同じ方向を見た。右手50mほどのところからバンらしい大きさの車が近づいてくる(ヘッドライトの光が見えるだけ)。さらにその50mほど後からオートバイのヘッドライトとおぼしき光が追ってくる。
「ふ〜ん、これはあのオートバイが行ったあとに出るしかないな」と思う間もなくバンが目の前を通過した。「さて次はオートバイ」と思った瞬間、友人がスルスルッと車を前進させた。「アァッ!、危ない!危ない!」と2回叫んだ。
友人はハッとしてブレーキを踏んだが、もう車は半身が車道に出ている。次の瞬間、オートバイが車の右側に激突した。ドッガーン!という音とともに人もオートバイも吹っ飛んだ。車外に出ると、オートバイはくの字に折れて、人は倒れてピクリともしない(あとから友人に聞くと、バンのヘドライトに気を取られ、オートバイにはまったく気がつかなかったそうだ)。
すぐ救急車を手配して病院へ。その夜は家族・保険会社に連絡するやら警察の事情聴取を受けるなど大騒動。しかし窓枠に頭を激突させたショックで脳しんとうを起こしたものの、命に別状なく1週間ほどで何事もなく退院した。そして印象に残っているのが、事故当日の深夜、相手のお父さんと交わした会話(その時点までで、丈夫なヘルメットのお陰で頭の骨にも異常なく、命にも別状ないことが判明していた)。
「息子がオートバイに乗るのは反対だったが云うことを聞かない。そこでせめてヘルメットは丈夫なものをと思い、市販されている中で一番頑丈なのを購入してきて息子に渡した」
そのときは「フ〜ン」と思っただけであるが、後から耕耘機の事故の話しを思いだした。いくら丈夫なヘルメットでも、顎紐をしていなかったら役に立たなかったかも知れない。それ以来、人のヘルメット姿をみると顎紐が妙に気になる今日この頃。。。。
前へ 次へ 目次へ