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       (307)山林商法


 30年くらい前、友人が別荘地開発会社なるものに勤めた。営業マンとして就職したが、話を聞いていると給料がいい。なんせ基本給もいい上に、契約を成立させたときの歩合給もたんまり。(へぇ〜、いい会社に勤めたんだ)と思っていたが、詳しく話を聞くと販売方法は違法スレスレ(というか、違法そのもの....)

 新聞などで「将来性抜群の別荘地!」などと広告をうち、二束三文の山奥の傾斜地をウソ八百万円で売りまくる。案内するのは見栄えのいい別の土地。山奥なので、お客(カモ)には どこがどこだか分かりはしない。

 とんでもない会社だと思って、「そんな会社は早く辞めた方がいいのでは」と言うと、「ウン、自分もそう思っている。なんか上の方で、警察が内偵してるらしい なんて話も出ているし....

 そんなころ、その友人に急いで連絡をとる用事ができた(個人的な事)。平日だったので その会社に電話すると、たまたま友人が電話に出た(声でわかった)。瞬間に思いついて、「こちら○○警察です」と言ってやった。すると受話器の向こうで息を呑む音。その態度で察したのか、回りの空気も凍りつく雰囲気。(笑)

 とても気持ち良かったが、そのまま黙ってるワケにはゆかない。そこで「オレだよ、あさみ だよ」というと、一呼吸あってから“ふう〜っ”と安堵のため息が。それから「おどかすなよ、心臓が止まるかと思った」。

 しばらくして友人はその会社を辞めた。会社自体も やがて解散したと聞いた。残念ながら、,どうやら摘発前に逃げ切ったらしい。いまでも岐阜県とか富山県の山奥へ行くと、その会社の分譲地と称するところが残っている。

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