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       (273)ボクのカバン


 ある夜、せっせとキーボードを叩いていたら、3男坊が来ていきなりこう云った。

「お父さん、ボクのカバン 知らん?」
?....いったいどんなカバンのことだ
「1mくらいの長さで 黒色のレザータイプ」
知らんなぁ....

 なんで急にそんなカバンが要るのかと思ったら、明日から1,2カ月、三重県に出張だという。そいで、身の回り品をいろいろ詰めてゆくんだと。

そうか....でもそのカバンのことは知らん。でもお父さん、似たようなカバンを持っている。しまってある場所は、お母さんに聞けば分かるはずだ
「うん、わかった」

 話はそれで済んで、そのまま3男は部屋を出ていった。
 それから数日経って、ふと思い出して家人に聞いてみた。

おい。このまえ3男がカバン探してけど、見つかったのか
ええ
そうか、それにしても3男もσ(-_-)と同じようなカバン、持ってたとは知らんかったな」
なに云ってるのよ。3男が云ってたのは“アナタのカバン”ことよ
?....3男は“クのカバン”って云ってたぞ
3男はね、この家にあるものは、全部“ボクのモノ”だと思ってるの
(゚O゚) 」

 ちーとも知らなかった....

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